PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン

無言の“被爆伝承者” 惨禍物語る宗教施設遺構(8月6日付)

2025年8月8日 11時33分

広島・長崎への原爆投下から80年を経て惨禍を実際に知る被爆者が減り、初めて10万人(被爆者健康手帳所持者数)を下回った。語り部活動は、2024年度で1560回に計10万2千人余りが聴講したが、語り手も激減。代わって若者や次の世代が被爆者から聞いた話を伝える「被爆体験伝承者」が行政によって育成されており、原爆資料館などで活動している。

広島市のある老僧は、被爆体験を「伝えることが自分の使命」と国際的な取り組みも含めて様々な平和活動に携わってきたが、当時はまだ幼かったので自身の記憶が明確ではないという。一方で、原爆被害の実情を示す遺構、モノの保存も重要で、寺院に関係する例も数多くある。

「慈仙寺跡の墓石」は同市中心部、太田川中州の平和記念公園にある。爆心地から200㍍に位置した寺は壊滅し、境内の掃除をしていた住職や家族は全員死亡。大寺で学校の分教場だったため、通学していた学童十数人も犠牲になった。空き地に唯一残るのが五輪塔。旧広島藩士の立派な墓だったが、上部の「風・空」部分が爆風で台座から吹き飛ばされて離れた地面に転がっている。

向こうに原爆ドームを望むその場所だけが周囲から一段と低くなっているのは、かさ上げ造成された同公園内で、ここだけは被爆時の地面をそのまま残したから。長い年月を隔てたこの原爆忌を前に、説明書きなどで悲劇を知った人たちが通りがかりに炎天下で手を合わせる姿が見られた。

無言の“伝承者”は各所に点在する。やはり爆風と熱線の直撃を受けて破壊された寺院は、戦後に再建したが、当時をうかがうことのできる壊れた伽藍の一部を保存して公開している。焼けた石仏群、高熱で溶けた瓦やガラスも、それを見ることで非人間的な核兵器の威力の一端を知ることができる。

宗教施設の遺構は長崎でも各所にあり、何よりも浦上天主堂が有名だが、原爆投下を正当化する米国の意向で被爆遺構の保存が妨げられた。現在、資料室に焼けたマリア像や聖杯などの遺物が展示されているが、その存在が広く知られ、実際に訪れて目にしてもらうことが重要だ。

やはり被爆で焼失し苦労して現地に再興した広島の別の寺では、修学旅行生、平和学習の生徒や参拝者を、焼け残って生い茂る被爆樹木や損壊した地蔵像が迎える。それらに接することが「こんな恐ろしいことがあった。戦争は絶対にあってはならない」と住職の語りを聞くきっかけになっている。

意思疎通で重要なこと 言葉の奥の意味(2月4日付)2月6日

「ヘルンさん言葉」というのがある。ドラマなどで注目される小泉八雲=ラフカディオ・ハーンが妻セツとの間で交わした、二人にだけ分かる言葉だ。「スタシオン ニ マツノトキ(停車…

トランプ氏の「平和」 狭量な国家利益追求に危惧(1月30日付)2月4日

トランプ米大統領が「ノーベル平和賞」の受賞を強く望んでいる。ベネズエラへの奇襲攻撃でマドゥロ大統領を拘束して独裁政権を倒したことを誇り、昨年ノーベル平和賞を受賞した同国の…

分岐点の非核平和主義 共存の理念を忘れるな(1月28日付)1月30日

日本人のノーベル賞受賞1、2番目の湯川秀樹、朝永振一郎両博士(共に物理学)らの著作『平和時代を創造するために』の巻頭に「核兵器の脅威から人類を守る目標は、他のどの目標より…

衆院選推薦候補者決まる 賛同書提出を条件に86人 全日仏 人物本位、各教会から159人 立正佼成会 自民37人、中道96人

ニュース2月6日

高市政権に「反対」 原発再稼働・軍備拡大を批判 生長の家

ニュース2月6日

節分会 春の訪れ感じ一年の無事祈願

ニュース2月6日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加