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中外日報社「宗教文化講座」

ベトナムで採燈護摩 日本由来の修法、世界へ

茨城県常陸太田市 天台宗来迎院 寺島清弘住職

ベトナムでの採燈護摩に向かう日本人僧侶の行道。先頭が寺島住職 ベトナムでの採燈護摩に向かう日本人僧侶の行道。先頭が寺島住職

昨年からベトナムで採燈護摩を営み、仏教交流で両国の架け橋を担っているのが寺島清弘・天台宗来迎院(茨城県常陸太田市)住職だ。

ベトナムでの採燈護摩は北部の中心地、ハノイから南へ約70㌔、車で約1時間半の地にあるタムチュック寺院(ハナム省)で営んでいる。同寺は元々、湖に浮かぶ寺だけを指したが、政府が「タムチュック文化観光地」として登録。新たに建設された複数の寺院群や、仏陀の伝説を描いた1万枚以上の絵画、千本の石柱が建ち並ぶ。

現在のタムチュック寺院は湖を含む総面積約5千㌶の敷地を有し、アジア最大の仏教寺院ともいわれている。同国のスピリチュアル・リゾート人気と重なり、精神性・文化・自然環境が調和した特別な場所として注目を集め、国内外から多くの参拝者や観光客が訪れる。

ベトナムと寺島住職を結び付けたきっかけは、寺島住職がもう一つの拠点としている栃木県足利市の鳳仙寺での採燈護摩だった。

同寺での採燈護摩供は20年前から営んでいる。比叡山延暦寺(大津市)で三年籠山行を遂業し、同寺に入寺してすぐのことだった。

地域にない仏教行事をと手探りで採燈護摩を始めた。羽黒山(山形県鶴岡市)で学び、金峯山修験本宗の五條良知管長からも教わった。珍しかったことも幸いして周囲に広まり、鳳仙寺での採燈護摩を応援したいと宗派を超えた仲間ができた。

採燈護摩の僧侶の縁で、ベトナム人僧侶で在日ベトナム人を支援するティック・タム・チー・大恩寺(埼玉県本庄市)住職と知り合ったことがベトナムでの採燈護摩につながった。

「タムチュック寺院は観光地で、レジャーを楽しむ方が多く集まる所。現地の人になじみがない採燈護摩が受け入れられるか心配だった」という。しばらくして現地の言語で念仏を意味する言葉が唱えられていることを知り不安はすぐに消えた。「火渡りにも熱心に参加してくれている」。日本の信仰が世界に通じたと感じた瞬間だった。

ベトナムを足がかりに護摩や山伏、修験などの日本由来の修法を世界に広めたいという。今年も11月に現地で行われる「仏教文化交流イベント」に出仕する。

(伊賀明)

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