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中外日報社「宗教文化講座」

宗教法人の悪用防げ 信頼回復のための努力を(10月31日付)

2025年11月5日 09時39分

少し古い話だが、ある地方の小さな宗教団体を取材した。修験系の新宗教で、例祭には地元の中・高齢者が集まり、行事が終われば各自が持ち寄った食物を分け合う共食の席に移る。記者も排除されることなく、招き入れられた。

ごく素朴な光景だが、この団体は宗教法人格の取得で大きな壁に突き当たっていた。運が悪いことに、所轄庁に書類を提出したのがオウム真理教事件の直後。宗教法人法では、書類を受理して3カ月以内に所轄庁は認証に関わる決定をしなければならないのだが、行政側が慎重になり過ぎて、認証以前の「受理」段階でおよそ10年近く止まってしまった。

事前の相談で良い感触があり、先走りで門前に「宗教法人●●教」の看板を立てたものの、県庁の担当者が代わってしまい、また一からの出直しの繰り返し。取材時、看板の「宗教法人」の文字を隠すガムテープが剝がれかけていた。その団体の主管者に「宗教法人を買えば早い」と助言する人もいたが、正規の法手続きで認証されるため粘り強く取り組んでいた(その後、認証された)。

ところで、「宗教法人」売買(金銭供与を伴う代表役員の交代)はオンラインでも公然と情報が流れている。代表役員の交代は包括法人たる宗派の管理が入るため、売買に当たっては一般に被包括関係廃止・単立化が条件とされる。宗教法人を買い取った団体が悪用するケースも多い。こうした現実は、宗教法人制度に対する社会的信頼を損ない、宗教そのものにも悪いイメージを与える。

宗教法人法は、その第1条に「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする」と規定する。

冒頭に挙げた宗教団体の場合は、まさにこの条文が想定した認証申請だったが、法の規定にはない所轄庁の対応でその運用が法の趣旨から外れた。宗教法人の設立認証には所轄庁側に3年ルールというものが存在し、受理から3カ月以内と明文化された規定は無視できないものの、相談を受けてから受理まで3年の経過観察を設ける行政の裁量が通用してきた。

宗教法人悪用の実態を見ると行政側の厳格な対応が問われるが、3年ルールは悪用防止には一向に役立ってはいない。実際に効果ある対策が求められるところだ。一方で、宗教法人の私物化を防ぐ制度の模索、教育など包括法人の側でもできることはないだろうか。

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