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肌身で知る 直接対話と体験の重要性(3月1日付)

2024年3月6日 10時20分

SNSの普及で人と人との直接的な対面交流の希薄化が憂慮されている。ネット空間での間接的な情報交換や非対面交流が日常化することは、人と向き合ってコミュニケーションを交わす能力を鍛える機会が減ることを意味する。その結果、対人恐怖を覚える青少年が増え、人間同士がナマでぶつかり合う場所に出ることを恐れ、相手との間に自分から壁をつくり、面と向かって会話することを回避する傾向に陥っているという。

自分の意思や感情を直接相手にぶつける経験がなくなると、相手とのやりとりで働かさなくてはならない意識や心理のコントロールが未成熟なまま、人間関係を悪化させる結果を招く。対面での交流を欠いた精神的不完全燃焼が、匿名性の高い間接的な関係性を前提とするネット空間で解放されると、リアルな対人空間で抑圧されていた意思や感情が奔放さを求めて噴き出し、それに対する共感と反発の感情が押し寄せて「炎上」と呼ばれる現象をネット空間にもたらすことにもなる。

対人関係に伴うコミュニケーション能力は、生きる上で必要不可欠な生活技術と言ってよい。その技能を鍛えるためには、どうすればいいだろうか。現実的にどんな方法があるかを考えるとき、地域の公共財として歴史を重ねてきた寺院という存在の活用に思いが及ぶ。寺と檀信徒との関係が密接であった時代には、親は子どもを連れて寺に参詣し、子どもは寺の歴史あるたたずまいや伝統行事に参加して、寺という空間の独特の雰囲気や見ず知らずの老若男女と同じ時間を過ごす機会を持った。そこで営まれる非日常的な催しに参加することで、目の前に展開される対人関係のありようを直接学ぶことができた。

近代化した地域社会にあって、古い制度や仕組みを維持している寺で特別な空気に触れることには意味がある。子どもは古くから伝わる法要や、現代社会の仕組みとは異なる作法で営まれる儀式に引き込まれ、異次元の世界を肌身で感じることになる。そうした未知の時間と空間の中で自分というものを再確認するひとときは、人間を原初の感性へ導く重要な機縁となるだろう。

パソコンやネットを介した仮想現実や疑似体験の蓄積からは、パソコンやネット空間から刺激を受けて神経が感知した現実認識しか得られず、生命体としていびつな成長を促すことにならないだろうか。それが人間形成の上にどう作用し、どのような結果をもたらすのかが未知の領域であるなら、なおさら懸念すべき問題である。

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