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止まぬ非道な暴力 民族を破滅させるのか(4月3日付)

2024年4月5日 09時37分

パレスチナ問題の核心は本来、1948年のイスラエル建国で暴力的に故郷を追われた75万人のパレスチナ人に、故郷へ帰還する道を開くことだった。だが、イスラエルはシオニズムに基づき一貫して帰還を拒否、逆に「2国家共存」を目指すオスロ合意に反しパレスチナ自治区のガザ、ヨルダン川西岸などからパレスチナ人を排除する意図が透けて見えていた。今回の執拗なガザへの攻撃で、その懸念を一層強めた印象が強い。

領土の拡大という政治的な行為を、旧約聖書に依拠した宗教的な理由で正当化できないという批判があることも指摘しておきたい。

ガザ侵攻でイスラエル軍は身を守るすべもない住民にAIシステムも使う圧倒的な軍事力を行使、事実上の無差別攻撃を続け、1万3千人を超える子どもを含め3万人以上を殺害した。人口230万人のうち70万人近くを深刻な飢餓に陥れ、家を追われた人々は200万人に達するという。国際法も国際人道法も国連決議も一切顧みないジェノサイド的な非道が現代の文明社会で展開されている。

入植者植民地主義と呼ぶが、入植者が先住民の土地を収奪する目的で移住し、暴力で先住民を追放する。ネーティブアメリカンを排除し建国した米国が一例だが、イスラエルもヨーロッパで迫害されたユダヤ人が入植して建国した。それに伴い追われたパレスチナ難民は子孫の代になって現在約640万人にもなった。

そのうち164万人が住むガザでイスラエルは人の移動と物流を極度に制限し、国際援助がないと人々が生活できない状態にした。一方、110万人の難民が住むヨルダン川西岸では国際法を無視して虫食い状にユダヤ人の入植地を広げ、46万人以上が入植した。現政権成立後、入植地拡大が加速、住民の抵抗に入植者が暴力を振るい、軍も武力行使し、多くのパレスチナ人が犠牲になっているようだ。いわば入植者植民地主義が強行されていく中で、ハマスの襲撃が起こったことになる。

ハマスによる民間人殺害と人質奪取に始まった争闘だが、著しく公平性を欠く状況に国連安全保障理事会も先日、イスラム教の断食月(ラマダン)期間中の即時停戦を求める決議を採択した。イスラエルは「自衛権」を言い立てるが、そもそも占領下にある地域からの脅威に対し、自衛権は主張できない、という有力な反論がある。

一つの民族の未来も、人々の命も尊厳も破壊され尽くしていく。それを許せば、21世紀社会は重い荷を背負っていくことになる。

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