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2024宗教文化講座

流動する住民 迫られる新しい関係づくり(5月17日付)

2024年5月22日 11時44分

インターネットの普及で、人々の生活に様々な変化が見られるようになった。家族や地域の絆が求められる一方で、孤立化と言うべきスタイルが日常化しており、スマートフォンを開けば、自分がどこに居ても世界とつながることのできる利便性は、これまでのように居住地を定めて行動を起こす生活形態にとらわれる必要のない、流動性の高い社会をもたらしている。こうした現実の変化に対し、定着性の高い寺社はどう対応できるかを考える必要もあるのではないだろうか。

民法では、住所は「各人の生活の本拠」とあり、生活の本拠は1カ所であることを前提として住民基本台帳が成り立っている。ところが現代社会は、1人が複数の家を所有するケースや、リモートワークで二つの地域や職場・職業で働く人、都市と地方を往来してリモートワークをする人などが増えている。仲間と拠点を共有して生活する人たちもいれば、住んでいない実家やシェア・オフィスに住民登録している人がいる。

前京都府知事の山田啓二氏は、住所不定の住民が増えている現実に行政制度が十分対応できていないことを指摘し、「虚構の上に行政制度をのせるのは正しいことなのか」と疑問を投げ掛けている。一方で流動性とは無関係に見えるのが歴史ある神社や寺院などの宗教施設である。特に檀家制度によって住民登録の役割を担った歴史を持つ寺院は、住民の流動性をつなぎ留める定住地としての位置を占めている。

住民の非定住性、死に場所や葬る場所の不確定性が現代社会の内包する状況だとするなら、檀家制度を維持する寺院の特性は現代においても、その定住性、固定性にあると言える。しかし幕府によって必要とされた檀家制度は、戦後の民法改正による家制度の崩壊と高度経済成長期以来の核家族化、地方から都市への人口移動などの社会変動によって地殻変動を起こしており、定住性の故に果たしてきた役割を今後も担えるのかという課題を抱えている。

国の支えを背景に持続してきた檀家制度を今日維持する主体は寺院自身である。後ろ盾となる大きな管理体制がなければ、檀家は定着性を失って流動化する。すでに都市部の住民は、ともづなの切れた船となって浮遊化しており、檀家の枠にとらわれない住民は増えている。寺院は、地域住民との新しい関係づくりをいや応なく迫られているのが現実ではないか。そうであるなら、寺院の近未来図を描き、あるべき寺院像を構築する努力は避けられないだろう。

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