天台仏教の諸相と展開 塩入法道名誉教授古稀記念論文集…塩入法道名誉教授古稀記念論文集刊行会編
研究者の業績は、研究成果としての著作、論文、その他の執筆活動および研究者としての活動に伴う学会などでの公的地位や役職などに集約される。しかし研究領域が広がり、影響力が高まるにつれて、その存在の重みは一層増すことになる。25年にわたって大正大に奉職し、仏教学部教授、図書館長、学長補佐、山家学会会長などの要職を歴任、現在は名誉教授、また常任理事として研究指導や大学運営に注力している塩入法道氏の古希記念論集から感じ取れるのは、手にした時の物理的な重さだけでなく、本書に寄せられた44人の新旧にわたる学究の論文題目が物語る塩入氏の学問業績の重厚長大さであろう。
塩入氏の主たる研究領域は天台教学を基盤として、中国、日本にわたる仏教思想の諸問題に及んでいる。このため、本書の論文構成も幅広く、中国天台、日本天台、真言密教、浄土教、日蓮教学、その他諸領域の6部にわたり、各分野の泰斗から気鋭まで幅広い研究者が最新の成果を寄せている。タイトルにある通り、全体の流れが「天台仏教の諸相と展開」という組み立てになっており、諸領域の中にはハイデガーと天台智顗思想との対比論的研究や、ソーシャルワーカーと臨床宗教師における傾聴の意義を検討する論文などもあって興味深い。
定価1万9800円、法藏館(電話075・343・5656)刊。





