王朝文化の胎動 摂関期~鳥羽院政期 中世日本宗教史第1巻…蓑輪顕量、菊地大樹、増記隆介、高橋悠介編
最新の研究成果をもとに日本中世宗教史を問い直す新シリーズの第1巻。摂関期から初期院政期の宗教史の展開について、東大寺を中心とする古代仏教との関わり、天台浄土教の成立と発展、真言密教の継承と変容といった多角的な視点から考察する。
新シリーズ「中世日本宗教史」全6巻は、現代につながる近世の宗教的潮流の源流を中世に求め、日本宗教史の再構築を試みるもの。近年の歴史学の見解を踏まえ、摂関期を中世形成の出発点として捉える。中世における「宗教の担い手」を指導的な役割を果たした僧侶、権力を握る支配者、実際にその時代を生きた民衆のいずれにも限定せず、複数の立場から中世の宗教的動向の実像に迫る。
本書は、中世という時代の胎動が感じられる10~12世紀の宗教史を扱う。第1章「総論 王朝文化の胎動」で当時の宗教界の全体像を簡潔に示し、第2章~第8章で個別具体的な論点を掘り下げていく。第2章「摂関・院政期の宗教と東大寺」では、古代仏教で中心的役割を果たした東大寺の古代から中世への転換を、朝廷の対仏教姿勢の変化に着目し考察する。第5章、第6章は摂関期とはどのような時代か、その歴史的な位置付けに関する研究の最先端を示すもので、浄土教の展開を理解する上で重要な視点を提示している。
定価3520円、春秋社(電話03・3255・9611)刊。



