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第22回「涙骨賞」を募集
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第22回「涙骨賞」を募集

いまこそ「あの世の話」をしよう ― 僧侶に質問、様々な見解(1/2ページ)

愛知大国際問題研究所客員研究員 内藤理恵子氏

2014年11月19日
ないとう・りえこ氏=1979年、愛知県生まれ。2002年に南山大哲学科卒業。10年、同大人間文化研究科博士後期課程修了。博士(宗教思想)。著書に『現代日本の葬送文化』『必修科目鷹の爪』『哲学はランチのあとで』など。

葬送研究を10年ほど続けてきたが、どうしても気にかかることがある。「死者の魂はどこに送られるのか」という葬送の根源的な問題である。幸いにも、この5年間で複数の僧侶に「あの世のイメージ」についてのアンケート調査を行う機縁に恵まれた。以下は曹洞宗の僧侶と真言宗豊山派の僧侶に調査を行った結果である。

曹洞宗の僧侶に聞いた結果は、次のようなものであった。

僧侶1「浄土の国(仏界)つまり仏様のもとへ行くと考えています」

僧侶2「死んだらあの世(仏の世界)には必ず行くものと思っている。曹洞宗では浄土とは言わないが、あるものと信じているし、信じていなければ話ができない」

僧侶3「死生は表裏一体」

僧侶4「曹洞宗の死生観・他界観というのは見解が統一されていないので、個々の僧侶の判断によると考えています」

僧侶5「仏国土」

僧侶6「正直むずかしい……私も教えてもらいたい」

僧侶7「死を畏れる人に安心感を与えるため、及び家庭・親族を亡くした人の悲しみを癒やすため、他界観(あの世の存在)は不可欠である。ただし、論理的、科学的な説明が必要」

僧侶8「死があって生がある。死後のことは考える必要がない」

僧侶9「曹洞宗の葬送儀礼は理にかなったもので信念を持って三帰式を授け、仏弟子となられ、結果、遺族の方も安心を得ていただければと考えている」

僧侶10「行くのではなく、『帰る』と考えています」

僧侶11「恥ずかしながら未だ確立せず。檀家さんと話したりすることもあります」

僧侶12「自然から生まれ、地水火風空の結びつきが順調であるのが生。不順なのが病気、離れるのが死」

僧侶13「無」

これほど僧侶によって差があるものとは思わなかった。同じ宗派でもずいぶん違うということが見えてきた。次に、以下は真言宗豊山派の僧侶への調査結果である。

僧侶1「密厳仏国土、西方極楽浄土……色々な言い方はあるが、私の想像では及びもつかない程の境地なのでしょう。極めて楽しいところなのでしょう。だからきっと、私たちのわかる形では戻ってくる方はいないのでしょう」

僧侶2「ひとことで言うのは難しいと思います。一般的には六道輪廻で生まれ変わることで、そこから解脱することが悟り。引導をさずけ、悟りの入り口に入られて、四十九日の修行を経て、仏となる。だから死んでいても生きていても同じで、生まれ変わるために、現世を大切に生きることが大切である」

僧侶3「つらいこともないであろうが、楽しいことも何もないであろう」

僧侶4「春の小川」

僧侶5「あの世の存在は、死生と表裏一体である」

僧侶6「欲の無い世界(胎内)に帰る」

僧侶7「あの世(六道=地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)。ただし、引導(俗人が仏になる)により輪廻から解放される(仏国土)」

僧侶8「とてもおだやかな場所。仏様や先祖様(成仏している)と心地よい会話(説法)ができる世界」

僧侶9「我々と先祖をつなぐ大切な世界。あの世=死後の世界=仏界」

僧侶10「あの世は大日如来が住んでいる場所である。私たちが死亡すると大日如来の処へ行くのである」

僧侶11「生まれ変わるための道、新しい人生のための世界」

僧侶12「立ち返る阿字のふるさと。皆、来た訳だから、また来た道をもどっていく」

僧侶13「弘法大師は『生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥し』と言っているから基本は輪廻なんじゃないかと思う」

僧侶14「修行の最終段階になったら感覚が鋭敏になり、霊の姿が見えるようになった。しかし、彼らがどこに行くのかまでは分からない」

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