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伝統仏教教団の過疎対策と宗派間の連携 ― 過疎地寺院問題≪8≫(1/2ページ)

浄土真宗本願寺派総合研究所研究員 那須公昭氏

2019年11月29日
なす・きみあき氏=1980年、岡山県生まれ。龍谷大大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。浄土真宗本願寺派総合研究所研究員。京都女子大講師。専門分野は真宗学、寺院と地域論。主な論文に「宗派を超えた過疎地寺院調査からの提言」(『月刊住職』2018年11月号)、「信頼は醸成されるか―浄土真宗本願寺派」(櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院』、法藏館刊)など。

筆者は、浄土真宗本願寺派(以下、本願寺派)に属しており、宗派に付置された研究所(現総合研究所)にて、過疎地に立地する寺院の現状や課題を探究している。最初に、教団の過疎対策の一例として、筆者の所属する本願寺派の過疎対策の経緯を簡単に紹介しよう。

本願寺派では、1970年代より、農山村部にある寺院を中心に人口流出に伴う「過疎化」が継続的に問題視されており、実地調査や都市部との連携などを中心に対策が展開された。2012年、「過疎地域対策担当」を設置し窓口の統一化をはかり、教団内での過疎問題の集約や施策を展開している。

他の教団においても過疎対策は、始動時期に差はあるものの、教団運営において無視できない問題として扱われ、さまざまな議論や対策が講じられている。

ただ、教団内に限定した現状把握や施策の展開には限界が生じていると思われる。寺院は単に教団に所属しているだけの存在ではないからだ。地域社会との関わりやその寺院がもつ独自の関係性など、多様なつながりの上に寺院は成り立っている。

特に「過疎」とは人口流出に伴う地域社会の弱体化を意味する。地域社会が疲弊すれば、寺院も弱体化する。また、こうした地域の疲弊からくる寺院の苦悩に教団の違いは関係ない。

15年、真宗大谷派と本願寺派の共催で、「過疎問題連絡懇談会」(以下、懇談会)を発足した。事務局は、真宗大谷派企画調整局と本願寺派寺院活動支援部〈過疎地域対策担当〉が2年度ごとに交代しながら行う。過疎問題に詳しい有識者を招聘した勉強会と過疎問題に関心の高い各教団関係者や研究者が会員として集い、各教団の過疎に対する考えや施策、課題などを提示しあい、情報交流を進めている。

これまでに、日蓮宗・浄土宗・真宗大谷派・真言宗智山派・臨済宗妙心寺派・高野山真言宗・本願寺派が課題や施策などを報告し共有してきた。さらに、18年より、天台宗・真言宗豊山派に加え、全日本仏教会・真宗教団連合も参加された。

懇談会の議論をもとに、各教団の過疎対策をまとめると、「寺院活性化」「寺院の統廃合」「現状把握」の3点に集約することができるだろう。ここでは、懇談会で共有された対策について、上記の3点をまとめ、筆者の所感を述べることとする。

まず、「寺院活性化」について紹介する。教団それぞれにアイデアを駆使しつつ、独自の活動展開がなされている。近年では、住職家族や門徒(檀家)のモチベーションアップをはかる研修会が増えている。

真宗大谷派や日蓮宗では、一般社団法人お寺の未来と提携し、「寺院運営計画書」作成講座を各地で展開している。また、本願寺派や日蓮宗、真宗大谷派では、支援員制度を導入し、過疎地寺院それぞれの課題に対して、教団の施策と照合しながら、提言や相談などを試みようとしている。

曹洞宗や日蓮宗では、教団のホームページ内で寺院検索を手がけ、ネット上で検索しやすい環境整備を行っている。臨済宗妙心寺派では「第二の人生プロジェクト」として、年金収入の見込める中高年者を対象に僧侶として養成し、経済基盤が厳しい寺院への派遣を行っている。

妙心寺派の取り組みは、教団が抱える兼務寺院の多さが起因している。住職が不在となる寺院の要因は、経済事情や傷んだ伽藍、檀家の離散などさまざまだが、特に寺院後継者の不在が大きい。寺院後継者の育成は、どの教団にとっても喫緊かつ重要な課題である。

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