PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

信用と信頼への努力 宗教の価値を高める余地(7月11日付)

2025年7月16日 09時15分

「巧言令色、鮮なし仁」は論語の一節である。孔子の時代にも言葉だけは巧みでも、思いやりや慈しみに欠けた人は多かったに違いない。言葉を飾ることに長けた人がいるというだけでなく、そうした言葉に惑わされる人が数多いという状況は今も昔も変わらない。

相手に言葉の重みが感じられるか、言行が一致しているか、そうしたことを判断するには、それなりの経験と学びが必要になる。巧言令色がはびこっているのは、見分ける力が自然に培われるものではないことを物語っている。

信用と信頼は似たような意味だが、少しニュアンスが異なる。時間軸に関連させて「信用は過去、信頼は未来」と解釈する人もいる。これまでにやってきたことの積み重ねが信用を築き、それがこれからやろうとすることへの信頼をもたらすといった捉え方である。

なかなか奥行きのある解釈なのだが、そうした人間関係を築いていくプロセス自体に、難しさが増しているのが現代社会である。巧言令色の輩の多さは相変わらずであるにしても、なぜ信用・信頼を築くのが難しくなっているのか。幾つかの要因があろうが、急速な情報技術の発展に対し、個々人の情報リテラシーが追い付けないのも大きな理由と考えられる。

スマートフォンなどで老いも若きも簡単に世界中の情報に接することができるようになったので、あたかも簡単に「真実」を知ることができるようになったとする錯覚が生まれやすい。会ったこともない人物とのオンラインでのやりとりで相手を信用する。誰かが思い付きで流した根拠のない情報、意図的に作成したフェイク情報を多くの人が信じ込む。SNSは実に厄介な現象を社会にもたらした。

そのような情報の流れに影響を受ける人が増えているとすると、信用や信頼を構築していくための場が少なくなる。他方で巧言令色の効果はむしろ増している。

21世紀の日本社会では、人口が減少し、限界集落が増える傾向は避けようがない。それは必然的に宗教活動にも及ぶから、後継者に悩む宗教が増え、維持できなくなる神社寺院教会等が増える。社会全体の趨勢を考えるなら、新しい情報技術を活用してもこの流れを変える努力には限界がある。

だが、宗教活動の質を維持し、社会的価値を高める余地はまだまだある。その時に信用・信頼という要素は大きな比重を占める。特に注意すべきは、新しい情報ツールがもたらす負の側面に目を向けることだ。何が信用・信頼の構築の妨げになっているかを考える作業は、より複雑になっている。

排外主義への警戒 日常レベルの交流が重要(11月5日付)11月7日

コンビニや量販店、飲食店などに行くと、必ずといっていいほど外国人の店員がいる。ほとんどのスタッフが外国人という店も見かける。日常生活において外国人の働き手は、極めて重要な…

宗教法人の悪用防げ 信頼回復のための努力を(10月31日付)11月5日

少し古い話だが、ある地方の小さな宗教団体を取材した。修験系の新宗教で、例祭には地元の中・高齢者が集まり、行事が終われば各自が持ち寄った食物を分け合う共食の席に移る。記者も…

意思決定支援の試み その人らしさの重要性(10月29日付)10月30日

人を支える働きの中で、支援者と被支援者間の意思疎通が大事なのは言うまでもない。中でも医療や福祉・介護の分野で、また自ら意思表明が困難な重度の障がい者をケアする現場では、困…

感染対策でマスクを着け読経する入行僧(法華経寺行堂)

修法師目指し荒行始まる 宗門加行所95人入行 寒一百日水行と読経三昧

ニュース11月7日
改革案の見直しの考えに加え大谷祖廟整備の財源を問う加賀氏(左)と内局の佐々木参務(右から2人目)ら

内局、導入姿勢変えず 真宗大谷派交付金改革 名古屋教区で説明会

ニュース11月7日
「宗教の中国化」を分析 櫻井所長が講演 京都仏教会研究会

「宗教の中国化」を分析 櫻井所長が講演 京都仏教会研究会

ニュース11月7日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加