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中外日報社「宗教文化講座」

オウム後継団体の現在―地下鉄サリン事件から25年④(2/2ページ)

ひかりの輪脱会者友の会 中山尚氏

2020年10月13日 09時04分

団体規制法の観察処分がかけられた当時、教団内部ではすぐにでも、より厳しい再発防止処分が下されるのではないかという危機感を持っていた。麻原にとって代わって上祐が教祖となり、帰依の対象になれば、再発防止処分を防げるばかりではなく、観察処分も外れるのではないかと考えても不思議ではない。

実際、上祐は代表就任後、シャクティパッドなどのイニシエーションを復活させ、「聖準師」というステージを新たに設け、事件後途絶えていた「成就認定」も行うようになっていた。麻原の『生死を超える』を真似して『覚醒新世紀』を発刊し、「『21世紀の大黒柱』という啓示を受けた」などと自らを神格化し始めてもいた。

この動きに対して、当然教団内部からの反発も大きく、この頃出所してきた麻原の妻も「グルの教えを守るのであれば、上祐教に協力する、とまで言ったのに裏切った」「上祐はグル外しを行い、自分がグルになろうとしている」(元アレフ代表野田氏のブログより)と激怒していたようだ。松本家が反上祐に回ったことから対立は次第に表面化していくこととなる。信者に対しては「修行に入った」という名目で、団体運営から外された上祐であったが、05年頃から再び活動をはじめ、派閥抗争は激化していくこととなった。

上祐が運営から外れて以降、アレフの収入も新規勧誘者数も激減しており、被害者賠償支払いもままならない状態になっていた。「このままでは教団は潰れてしまう」という危機感を煽って、主流派を攻撃すると同時に、上祐がいかに麻原から信用されていたかをアピールし、教団の立て直しをするのは上祐しかないという主張によって、上祐らは主流派を切り崩していった。主流派は一緒にやっていくことは困難として上祐派を追い出しにかかる。そして07年に両者合意の上に、上祐派はアレフを集団脱会し、ひかりの輪を設立することとなる。

上祐派の欺瞞

脱会の際に上祐が信者に説明していたことは、アレフと新団体、どちらかでも生き残ったなら、真理の灯明は守れるというものだった。また、「私(上祐)は必ずグルとともに輪廻を共にする。だから私との縁を深めておけば、再びグルと巡りあえる」などというものであった。事件を反省してひかりの輪を作ったと上祐派は詭弁を弄するが、そもそもの事件への反省も賠償も、教団存続のための戦略だったのは上述の通りである。

グルの意思とは救済活動であり救済活動するためには社会融和が必要で、社会融和するにはまずは事件を認めていかねばならないと派閥争いしてきたが、その目的はグルの意思を果たすためであったことは強調しておきたいと思う。

また、公安調査庁の立ち入り検査に上祐派は協力しているとアピールしている。実際に私は団体から公安調査庁の協力者にならないかと言われたこともあった。都合の良い信者をピックアップして、都合の良い情報だけを公安調査庁に流させていたのである。

その半面、「公安に見られたら困る」と、信者の自宅に書類や物品等を預けて「検査忌避」するという問題も発覚している。予め信者宅に預けていれば違法行為には該当しないという法の抜け穴を駆使し、情報を流したり、隠したりしていると考えてよいだろう。

極めつけは麻原や弟子の死刑執行後に明らかになった女性信者の見殺し事件だ。女性信者がスパイ容疑で教団に殺害された現場に上祐がいたにもかかわらず、それを隠蔽し続けた。ひかりの輪は色々と言い訳をしているが、大義の前には全てが正当化されるというオウム的発想の踏襲でしかない。

麻原亡き後のオウム後継団体問題

麻原や重大事件に関わった弟子たちは死刑となり、もはや信者に対して指示することはできない。死者が残した教義を信じることによってどのような危険性があるのか、という信教の自由の根本的な問題を麻原亡き後のオウム後継団体を考える上で避けては通れなくなるだろう。危険な思想を信じる自由はあるのかないのか。そもそも「危険な思想」としてレッテルを貼ること自体は正しいことなのか。宗教界も思想界も全力をあげて考えていく必要があるだろう。

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