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《新年座談会②》コロナ後、社会・宗教どう変わる?― グローバリズムの果てに危機(2/2ページ)

 安藤礼二氏

 中島岳志氏

 釈徹宗氏

2022年1月8日 09時15分

長い時間の中で生きているとちょっとしたでこぼこは気にならず引き受けられますが、萎縮した時間の中ではニキビのようなわずかなでこぼこも辛抱できなかったり、イライラしたりする。縮んでいる時間をいかに延ばすのかが現代人のテーマとしてあると思います。

中島さんのご家族のお話は、コロナで日常のリアリティーが増したということだと思いますが、私がコロナで思ったのは、今までは随分日常が枯れていたんだなあということです。かつて家族で外食するだけでも「ハレ」の日だった時代がありました。今や家族で外食する日がハレの日という感覚はすっかりなくなり、ハレが常態化して「ケ」がすごく痩せている。我々の日常とか「ハレとケ」の問題がコロナで浮かび上がったと感じています。

安藤 あと中島さんがおっしゃった効率性とか有効性の問題ですね。これにとらわれると、それ以外のものは価値がないと切り捨てられてしまいますが、そんなことはない。柳田や折口が注目したのは祝祭です。祝祭はハレなのですが、毎日やるわけではなく1年に1回、時間を決めてやるから祝祭なのです。そこでは効率性や有効性とは逆の原理が働きます。

コロナで大変な目に遭われた方も多いのですが、コロナで我々人間がそもそもどういう生活をしていたのか、立ち止まって振り返ることができたような気がします。我々は「ハレとケ」「日常と祝祭」の時空間を本当にバランスよく生きてきました。その中で有効性や効率性は、考慮されつつもかなり抑制されていた。そうでないと身近な人とのコミュニケーションはうまくいきません。

芸術作品の制作には効率性や有効性とは全く逆の時間が必要です。「無駄」というレッテルを貼るのが近代の病ですが、何事にでも使えるような時間・空間の余裕、コミュニケーションの余裕が必要だと思います。

いま目の前で利益は生まなくても、非常に長い時間の後にそれがなければ未来の人たちが利益を受けられないものがある。スピードや効率性、有効性がいったん遮断された経験は必ず未来に生かせると思います。今まで近代を推し進めてきたものとは違う生き方を近代の中からもう一度再構築していく。全世界の人たちがコロナで平等に痛みを感じられたという意味では、一つの生き方の指針になってくるのかなと考えました。(つづく)

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