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2024宗教文化講座

「竹刀は心」で人格陶冶 強豪剣士を多数輩出

東京都瑞穂町 臨済宗建長寺派福正寺 鈴木文雄住職

道場で子どもたちの練習を見守る鈴木住職㊨ 道場で子どもたちの練習を見守る鈴木住職㊨

剣道6段の鈴木文雄・臨済宗建長寺派福正寺(東京都瑞穂町)住職(72)は1992年に剣道場「金龍舘道場」を開設して以来、全国で活躍する強豪選手を育ててきた。「勝ち負けではなく、相手の身になれる人格を育てることが目的。竹刀は心。相手の心に寄り添ってこそ一本が取れる」と子どもたちに教え、育てている。

剣道の指導者をしていた父の鈴木松濤・前住職の下で幼い頃から剣道を始めた。建長僧堂と建仁僧堂での修行後、聖徳学園で生活指導と剣道の指導をする職員として働き、全国高等学校剣道選抜大会で優勝に導くなど各大会で好成績を残していった。

大切にしているのは、子どもたちが自身で考えるようにする指導方法だ。なぜ打たれるのか、なぜ当たるのか。相手がどのように動いたら、どこに隙ができるのか。「子どもたちが自分で気付き、できるようになると剣道が面白いと思える。押し付けるのではなく、子どもの身になって教えるようにしている」

92年、当時はまだ副住職だったが、境内にある2階建ての禅堂「大徹堂」を利用して道場を立ち上げた。当初、道場に通っていたのは福正寺松濤幼稚園の園児。その子たちが小学生になり、95年の都大会で優勝して以降、様々な大会で上位入賞を果たし強豪道場として全国に知られるようになった。これまで指導してきた子どもたちは教員や警察官、刑務官、剣道の指導者として活躍している。

鈴木住職は、剣道も仏道も相手に対して思いやりの心を持つことが重要だと語る。「剣道は心の読み合い。竹刀は心そのもの。打ってやろうという自分勝手な思いが強くては、たとえ一本取れたとしても、たまたま当たった一本。心がない剣道はただのチャンバラ。相手の心に寄り添い、読み切ったところで本当の一本を打つことができる」

火曜、木曜、金曜の午後6時半から8時半まで、小中学生が練習に励む。木曜午後9時から10時までは、高段位の大人たちが研鑽を重ねる。剣士たちの威勢のいい掛け声と、防具を打つ竹刀の鋭い音が道場から響く。

2019年までは自身も防具を着けて指導していたが、23年4月に館長を峯岸清氏(54)に譲った。峯岸氏は「人の道を教えてこられた鈴木先生の道場を長く続くようにやっていき、子どもたちの健全育成に努めていきたい」と話す。

(甲田貴之)

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