宸殿復興で拝観者増を
天台宗曼殊院門跡 西郊良光門主(81)
天台宗京都五箇室門跡の一つ、曼殊院門跡(京都市左京区)門主に昨年10月20日付で就任した。約150年ぶりに再建された宸殿の落慶法要と併せて晋山式を5月に営む。「宗内外に曼殊院の名前を広く知ってもらえるよう努力していく」と強調する。
宸殿の建物は病院建設のため1872年、政府に上納された。以来、同門跡では宸殿復興が歴代門主の悲願となった。藤光賢・前門主が発願して全国行脚を重ねて浄財を募り再建にこぎ着け、昨年完成した。「落慶法要には藤前門主の別席を設けて丁重にお迎えする」と功績をたたえた上で「宸殿を観光の目玉にしたい」と意気込む。
書院や庭園には様々な工夫が施され、「小さな桂離宮」とも称される曼殊院について「観光で盛り立てるとともに、黄不動明王像を中心とする不動信仰にも力を入れる」とし、毎月28日の護摩供での祈祷を通じて信者を増やしていく考えだ。
2001年から4年間宗務総長を務めたほか、海外での人道支援にも積極的に取り組んできた。日韓仏教交流協議会理事長として、日本で亡くなった在日韓国人の遺骨を本国に返還する事業に携わり、設立当初から関わる仏教救援センター(BAC)の活動として、ラオスに学校を約120校建設するなど奔走した。
昨年10月にはイタリア・ローマで開かれた聖エジディオ共同体主催の「第36回世界宗教者平和の祈りの集い」に天台宗の代表として参加。ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「宗教の垣根を越えて世界平和を実現していかなければならない」と訴えている。
(須藤久貴)