神像彫刻重要資料集成 第二巻【関西編一】…伊東史朗総監修、根立研介本巻監修
平安時代から鎌倉時代にかけての神像彫刻を可能な限り網羅的に収録し、都道府県別に集成した資料集。全4巻(+別巻1)で、神像が最も多く集中している関西は2巻に分けられている。本巻では福井県、滋賀県、京都府、兵庫県の4府県を扱い、国宝5躯、重要文化財185躯を含む全574躯のデータを収録している画期的な資料集だ。
神像はその最初期の形態、あるいは制作開始時期など、まだまだ不明なところが多いという。しかし神仏習合の思想を受け、畿内を中心に本格的につくられ始めたことに誤りはない。本巻に収録された神像の中でも、例えば京都府の来迎院の荒神像・護法神像、高山寺の善妙神像や白光神像などは、垂迹神像の代表的な作例である。ほかにも大将軍八神社の大将軍神像群や善法律寺の牛頭天王像など、仏教の影響を受けたであろう優れたものも見られ、多様な像容を示す神像の姿を如実に提示している。
図版では正面写真だけでなく、背面、両側面、像底写真をほぼフルカラーで掲載。さらに解説では、神像の形状・法量・品質構造・保存状態・時代・伝来・銘記など基礎的な情報を列記している。神像彫刻の研究者にも、これから知ろうという人にも勧められる、深く広い学びを得ることができる1冊だ。
定価5万7200円、国書刊行会(電話03・5970・7421)刊。


