数の源泉
先日の衆院選は、高市早苗首相率いる自民党が歴史的大勝を収めた。対照的に、新党を立ち上げ不退転の決意で臨んだ中道改革連合は壊滅的とも言える大敗を喫した。おおむね各種報道の予測通りとはいえ、両党の浮沈ははっきり分かれた◆政治は武器を使わない合法的な戦争である。かつてそう看破したのは、「壊し屋」「剛腕」の異名を取り、長らく日本政界に君臨してきた小沢一郎氏であった。その同氏も、今回の選挙で議員バッジを失った。小沢氏の落日は、「合法的な戦争」としての政治の終焉を物語っているように映る◆近年の選挙はSNSが勝敗を左右するとされる。地盤・看板・かばんといった旧来型の組織力や資金力は必ずしも勝利を保証しない。「数は力」という政治力学において、数の源泉は組織による「物量」から個々の共鳴による「熱量」へと変質しつつある◆では熱量を生み出すものは何か。それは「言葉」だろう。政治にとって言葉は唯一の武器であるはずで、SNS向けの扇情的なフレーズや耳当たりの優しい巧言の類いであってよいはずはない◆「善き思い、善き言葉、善き行い」。ゾロアスター教はこれを「三徳」と説く。善なる思いが言葉となり、やがて善なる行動へと結実する。政治には、責任と重みを伴うそうした言葉がふさわしい。翻って有権者も、政治家の言葉を聞き分ける力が試されている。(三輪万明)






