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原発事故への不安 能登半島地震で顕在化(6月19日付)

2024年6月21日 11時42分

住民の悲惨な状況がまだまだ続く能登半島地震被災地では、多くの宗教者たちが粘り強い支援を続けている。その活動報告の中で、原発事故問題が指摘されることも多い。

メディアの報道は非常に少ないが、石川県志賀町の志賀原発はたまたま稼働していなかったため事故を免れ助かった格好だし、同県珠洲市に立地候補地があった珠洲原発は住民らの反対運動で建設計画が中止されたのが奏効したということだ。

志賀原発は能登半島中央に立地し、東日本大震災での福島第1原発の事故以来、運転が停止されている。しかも地下の活断層の論議から再稼働が延び延びになっていた。だが、現地は今回震度6の強い揺れに見舞われ、敷地が広範囲に地盤沈下した。

報道によると、変圧器の配管が破損して1万9800㍑もの油漏れが生じて一部は海に流出。外部電源や非常用電源が一部使えなくなり、有事の際に重要な放射線監視装置の一部も測定不能になるなど深刻な影響が出た。

町と周辺はほとんどの家屋が倒壊し、道路もずたずたに。事故の際の緊急避難範囲である原発から30㌔圏内でも孤立状態となった場所が多く、事故時のメインの避難ルートにされている「のと里山海道」は、複数カ所が陥没して通行不能となっていた。

放射能漏れの検知もできず、逃げ道もない状況で「もし稼働中で事故になっていたら」と心配がよぎるのは、決して地元の住民や宗教者だけではないだろう。

半島先端に当たる珠洲原発候補地は、今回の震源地のすぐ近くだ。1975年に建設計画が明るみに出、住民による裁判闘争など、粘り強い反対運動が28年にわたって繰り広げられた結果、計画は頓挫した。地理的にも事故時への不安要因は志賀原発と同様であり「あの時、頑張って阻止してよかった」との意見は地元住民だけではなく原発の危険性を危惧する全国の市民からも聞かれる。

関西、北陸、中部電力の合同による、1千万㌗㌗級と世界最大規模の構想もあった珠洲原発。もし現実に計画通り建設され、事故が起きていたら、福島原発(470万㌗)事故の比ではないとの指摘が専門家からも出ている。

「福島原発事故で、私たちは技術・文明の暴走や限界に気付いたはずだったのではないか。今回、それをもう一度思い起こす必要がある」。能登の被災地で住民に寄り添い続けるある宗教者の言葉を私たちも胸に刻む必要があるだろう。

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