ロスを生む規格
青果物には出荷団体等が等級・量目およびその基準(荷造、包装等の条件も含む)を定めた「出荷規格」があり、各県の規格基準に適合したものが流通している。規格を統一して県産青果物の評価を高め、生産および流通の合理化を図り、農業経営の安定化を目指す◆一方、産地間競争を背景とした差別化や販売先からの多様なニーズへの対応などで規格の細分化が進んだ結果、出荷に至る広範囲な作業の手間が増え、また生産者の高齢化や後継者不足による労働力の確保が困難といった状況を招いている◆農林水産省は産地の出荷関連作業の軽減化を促しているが、より根本的な問題は出荷規格に適合しない青果物の大量廃棄という「食品ロス」の現実である◆野菜の出荷規格は大きさや色・形、品質の良しあしで振り分けられる。曲がっている、キズがある、色が薄い、太さが足りないなどの規格外野菜は、ほとんどが店頭に並ぶことなく廃棄処分に回される。廃棄率は生産量の40%にも達するという◆日本の食料自給率は先進国で最低水準の38%といわれる中で「規格」という名の規制が生産者に過大な「生産ロス」を強いるのは不合理というしかない。最近は資源循環などロス削減への取り組みも見られるが、何より消費者の意識転換が必要だろう。自然由来の不揃いや僅かなキズのある「わけあり商品」に何の不服があるだろうか。(形山俊彦)