社会課題解決へ地元の資金循環促進に取り組む 山口美知子氏(53)
現代は社会課題を多様な分野や立場の協働で解決し、社会的便益を創出する「コレクティブ・インパクト」が求められている。その具体的実践に必要な資金調達を支えるため、地域の資金循環を促進させる活動に取り組む。「お金を誰かを支援したいという思いを託して渡せるものと思うようになった」と話す。
池田圭
東近江三方よし基金(滋賀県東近江市)の主な活動を教えてください。
山口 地域の諸団体への助成に加え、地域活動に関する情報収集や調査研究、相談窓口、団体間の仲介など地域の課題解決のコーディネートを行っています。
こうしたコミュニティーファンドはNPO元年と呼ばれた1995年の阪神・淡路大震災後に都道府県単位で増えていきますが、2017年に設立した我々の基金は市町村単位では全国初となります。
これらの基金はNPOの資金調達というイメージが強いですが、我々は地域の人が必要なサービスを生み出すために必要なお金の循環を促進する仕組みづくりを重視しているのが特徴です。地域外に出ていったお金を地元に取り戻したり、休眠預金のような眠っているお金を必要な所に循環させる地域経済の機能強化を組み込んだ支援活動を行っています。
お金も地産地消させるイメージですね。
山口 公益性の高い団体の事業を応援する融資制度を、地元の信用金庫と連携して行っています。我々は融資先の団体の公益性評価を担当しているのですが、信用金庫の方からは「これまでは融資先をもうかる・もうからないという視点でしか見てこず『これが地域に必要』という視点が足りなかった」と。
地域経済ももうかる・もうからないだけではなく、地域の人々のためにどんな事業に資金的に貢献するのか。お金は地域に循環させてなんぼだと思います。
数値化が難しい公益性評価はどうするのですか。
山口 評価基準に環境・地域経済・社会課題解決の視点を盛り込んでいますが、公益性評価をいかに可視化して世の中に提示していくのかは非常に重要です。
例えば、ある子ども食堂では18年度末の成果目標を①利用者の子どもに知り合いや友人が増え、信頼できる大人ができた②主催団体の側にも相談できる人が増えた③地域に子どもに関する諸課題への認識を持つ人が増えた――に設定しました。
その結果をアンケートなどで調査したところ、子どもたちに様々な「つながり」が増え、団体への協力者の増加や地域の認知度も大…
つづきは2026年6月10日号をご覧ください







