宗教の非制度性
ビハーラや被災地支援などの社会活動に取り組む宗教者はある時は傾聴し、ある時は力作業に従事し、ある時は場の調整役となり、ある時は「ただそこにいるだけ」に徹したりなどと変幻自在の働きを発揮する◆もちろん分野に応じた専門的な知識や技術を持つ宗教者はそれらに基づいた働きも行う。だが、専門性の有無を問わず宗教者が示すそうした融通無碍の働きには一般のそれとは違い、どこか説得的という不思議なところがある◆その一因は宗教が持つ非制度性だと思われる。「制度」には専門的な技術や知識の裏付けという強みがある一方、制度外のことは扱えない。それ故「制度から漏れた人」へのコミットが難しくなる◆近年の行政予算の削減や社会課題の多様化の中、多分野協働の課題解決を通した新たな価値の創出が求められている。そうした中、制度を相対化できる宗教の非制度性には大きな可能性が見いだせるのではないか◆東日本大震災を機に養成が始まった臨床宗教師の強みの一つもそうした非制度性にあると思われる。ただ、その存在を社会に明確に位置付けるために臨床宗教師は認定資格として制度化されている。先日、日本臨床宗教師会設立10周年記念シンポジウムに参加した際、関係者の話から非制度性の意義と、自らを制度化しなければ社会に認知されないというジレンマも垣間見えた。(池田圭)









