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癌告知のあとで なんでもないことが、こんなにうれしい…鈴木章子著、東井義雄序文

2025年6月13日 09時23分
癌告知のあとで なんでもないことが、こんなにうれしい

乳がんが肺に転移し、長く生きることはできないと宣告された著者が、物事の本当の価値に気付く。北海道の真宗大谷派西念寺の坊守となり、念仏と縁の深い人生を送ってきたが、がんになる前は「なせばなる、ならぬは人のなさぬなりけり」とも思っていた。がんになり、自力で笑うこともできない状態を経験し、それがおごりだったと気付く。念仏がその状況を受け入れる力を与えてくれた。

変化した死生観の下、日常、人生、家族、念仏などについて、闘病生活を続けながら数多くの短詩を残した。母として4人の子どもたちへの思いを語ったものや、日常的な出来事を捉えたものが多い。一部に仏教用語が使われるが、難解な部分は少ない。

死を受け入れ感謝する著者の姿勢は周囲の人々に驚きと尊敬の念を抱かせてきたが、子どもたちの今後を見守ることができないこと、夫を一人にしてしまうことなど、考えれば苦しく簡単に割り切れはしないという。しかし転々移を知った際には、私は子どもたちの南無阿弥陀仏になる、など念仏の境地のような詩も生んだ。書籍が完成して届けられた3日後に著者の鈴木章子氏は死去した。

本書は1988年に出版され、2カ月を経ずに第5刷となるほど好評を得た。今年、新装改訂版が出版された。

定価1540円、探究社(電話077・599・4201)刊。

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