魅力ある宗派と本山に
浄土宗西山深草派 畔柳正倫宗務総長(64)
7月に浄土宗西山深草派の宗務総長に就任した。自坊は愛知県西尾市の桂岩寺で、先代住職の正顕氏も宗務総長を務めた。気さくな人柄で、宗派や総本山誓願寺(京都市中京区)をより魅力あるものにしたいと三河弁交じりで話す。
京都西山短期大と佛教大を卒業後、前宗務総長の加藤良邦氏の自坊で、志貴毘沙門天として親しまれる妙福寺(愛知県碧南市)に奉職した。加藤氏との縁は深く式衆会長などを経て、2013年に発足した加藤内局で教学部長を務めた。教学部長の経験は他宗派との親交を深める契機になったという。
若い僧侶が本山・宗派に魅力を感じられるように「まずは誓願寺の土台がしっかりする必要がある」と語る。「今の環境は自分たちが育ってきた時代とは異なる」という認識の下、本堂へのエアコンの設置を計画している。
併せて長年庶民に親しまれてきた同寺の歴史を踏まえ、街中の寺として参拝者がより気軽に立ち寄れる本山も目指す。
趣味はスポーツ観戦。スポーツ記事を書きたいという思いから、新聞記者を目指した時期もあった。最近は衝動的に人をあやめる行為や、無差別殺人事件に危機感を持っている。「衝動的な気持ちを抑えるのが心や理性。宗教や教育がそれらを養えなかったことは反省すべきことだと思う」
座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」。「誓願寺を変えていくために内局のメンバーという意味での『人事』にも力を尽くした。情熱のある部長を信頼して後は結果を待ちたい」とおうように構える。
(椎葉太貴)