播州の名に恥じぬように
浄土宗西山禅林寺派 富永真光宗務総長(63)
相手の目をしっかりと見つめて話し、笑う時は屈託のない笑顔を見せる。兵庫県姫路市の寺に生まれた生粋の「播州人」で、播州弁が出ないように意識していると笑う。
浄土宗西山禅林寺派の宗務総長に7月に就任した。自坊は同県加古川市の圓福寺で、京都以外からの総長の誕生は約40年ぶりとなる。宗会議員、宗会副議長と宗学研究所所長を務めた。
京都西山短期大に入学し西山浄土宗総本山光明寺(京都府長岡京市)で随身した。当初は僧侶になることに抵抗感があったが「先輩たちは宗派が違っても真摯に向き合ってくれた。自然と流されてお坊さんになろうと決意した」と振り返る。
その後、佛教大への編入を機に同郷で、当時禅林寺派の宗務総長を務めていた井上俊久氏の勧めで総本山永観堂禅林寺(京都市左京区)で随身した。
佛教大では大学院も含め、後に浄土門主・総本山知恩院門跡となった坪井俊映氏に約8年間師事。「最後の弟子」として西山義を研究した。
「坪井先生は證空上人が大好きだった。西山教義を研究する人が希少で『君がしなさい』と言ってくれた。先生にかわいがっていただき、鍛えられたからこそ今がある」
涙もろい一面もあり幼い頃はよく悔し涙を流した。今は映画に感情移入し泣くことが多い。息子と鑑賞した「ガリレオ」シリーズの劇場版「真夏の方程式」は涙なしには見られないという。
宗派を超えて紡がれ、自身を導いてくれた様々な縁に感謝し「播州の名に恥じないような総長でありたい」と話す。
(椎葉太貴)