改革なくして伝統なし
時宗 清水良正次期宗務総長(68)

時宗宗務総長および総本山清浄光寺(遊行寺)執事長に9月1日付で就任する。「改革なくして伝統なし。700年以上続いてきた時宗のバトンを次の世代に渡すため、未来を見据えた仕事をしていきたい」と意気込む。
滋賀県の時宗寺院の出身だが縁あって浄土宗の東山学園の職員となり、その後、臨済宗妙心寺派の花園学園で事務局次長に。二つの他宗の宗門校で要職を務めた。とりわけ花園学園では財務の健全化のため人件費削減などに大なたを振るった。時宗の財務部長として内局入りすると、宗費や教師賦課金の管理のデータベース化に着手。宗派会計の長年の伝統を踏襲しつつ、利便性向上や効率化を図った。
異色の経歴の中で、多くの人々から薫陶を受けてきた。特に花園学園の松井宗益・元学園長とは今でも付き合いが深く、他宗だが僧侶としても尊敬の念を抱く。「見習いたいのはその会話力。会話は会って話すと書くがこれはまさしく僧侶の原点でもある。未来を語り、様々な智慧を出し合い具現化していくことは宗派・本山の継続にもつながるはず」と訴える。
境内整備が進んだ遊行寺を市民に愛される憩いの場とするためのPRは今後も必須だ。その上で「学校法人がつぶれる時代となり、宗教法人もそれが本山であっても人ごとではない」と警鐘を鳴らすことも忘れない。「2023年のデータでは時宗教師15人が遷化し、新たに補任されたのは3人だけ。このまま日々の行事に追われ、伝統にあぐらをかいていては先細りするばかり。宗派の若い人にも自分自身で考えてほしい」と呼び掛ける。
(佐藤慎太郎)