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学芸員として30年、美術展を手掛けてきた 古田亮さん(60)

ほっとインタビュー2024年10月25日 10時19分
学芸員として30年、美術展を手掛けてきた 古田亮さん ふるた・りょうさん=1964年、東京都生まれ。2021年から東京芸術大大学美術館教授を務める。専門は近代日本美術史。多くの美術展を企画し、高い評価を得ている。2010年に著書『俵屋宗達 琳派の祖の真実』(平凡社新書)でサントリー学芸賞を受賞。

学芸員として約30年、分野を問わず様々な美術展を手掛けてきた。今春には東京芸術大大学美術館で「大吉原展」を企画して話題を集め、現在は来年3月に始まる承天閣美術館開館40周年記念「相国寺展」の準備に取り組む。自身の学芸員としての仕事、展覧会の意味は「供養」だと語る。

河合清治

展覧会が「供養」だとはユニークな発想ですね。

古田 今年、イタリアのボローニャの大学から求められ、ミュージアムが展覧会を行う意義について「供養」をキーワードに発表しました。

私たち学芸員の大きな仕事の一つは、収蔵庫に眠っている収蔵品に光を当てることです。収蔵庫の中には、それまであまり価値が認められていなかったものや「死蔵」といわれるものもあり、大きな博物館であればあるほどそういったものが多く存在します。日本の美術作家の中には、自分の作品がミュージアムに収蔵されることを「墓に入れる」と言う人がいるくらいで、いったん収蔵されてしまえば、まず展示されることがないからです。作品が登録されると、収蔵のためのプレートは墓誌に、調書は戒名になぞらえるのだそうです。そういった考え方は、作品をモノ(物質)と捉える西洋の思考というより日本人独特の死生観に近いものです。

死の直後の供養は冥福を祈るものであるのに対して、三回忌以降は、死者が存在したことをその時点から振り返ることであり、死者を思い起こすことで一時的に現在によみがえらせ、過去に生きた人やモノを現在に継承する役割を持っており、その意味において、収蔵庫から作品を取り出してきて展示室に並べることは「象徴的な供養」であると言えるでしょう。

年回忌の法要や法事と同じですね。

古田 生誕〇〇周年や没後〇〇周年といった展覧会も多くあります。これも供養の一種であると考えています。企画自体は一過性のイベントですが、それを機に多方面に散らばっていた作品が一堂に会し、学芸員による再調査などによって、思い起こしや再評価の場を提供します。展覧会はミュージアムにおけるモノの継承の一形態と見なすことができると考えます。

この春に「大吉原展」を企画しました。これは何周年という記念ではありませんでしたが、展覧会自体が供養だったと思っています。遊廓には負の歴史もありますが、その扉を閉めたままでは供養にならないと考えるからです。…

つづきは2024年10月9日号をご覧ください

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