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経典を現代語訳する詩人 伊藤比呂美氏(70)

ほっとインタビュー2025年12月22日 10時24分
経典を現代語訳する詩人 伊藤比呂美氏 いとう・ひろみ氏=1955年生まれ。青山学院大文学部卒。78年に詩集『草木の空』でデビュー。97年に渡米し、2018年に帰国。現在は熊本市在住。小説『ラニーニャ』で野間文芸新人賞、詩集『河原荒草』で高見順賞、詩集『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞。経典の現代語訳に『読み解き「般若心経」』『いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経』など。

20代で詩人としてデビューし、1980年代の女性詩ブームを牽引。子育て、離婚、介護、看取りなどの経験をつづったエッセーも多くの読者を引きつけ、近年は経典の現代語訳でも注目を集める。詩作も翻訳も自分の中から言葉を引き出す地道な作業であり、自らの内面と真摯に向き合う行為は修行に通じるものがあると話す。

有吉英治

経典の現代語訳に取り組んでおられますね。

伊藤 お経って詩として、きれいで面白いと思うんです。以前、宗派の解説書シリーズを全部買ってきて、読んでみたら短い漢文のお経がいっぱい載っていて、詩だな、と思ったんです。分かりやすい言葉にしたくなって、短いものから始めて「般若心経」も訳して、だんだん長いお経も読み出しました。翻訳するのは楽しいんです。

「甚深微妙」とか「百千万劫難遭遇」とか、音もきれいだし。なかなか会えることのない仏教に生きて生きてやっと会えたと、会えるというのはすごいことだと、そういう言い方で仏教をことほいでいる。美しくてしょうがないですね。

『尼僧の告白』に出てくる繰り返しは語り物としてすごく魅力的だし『法華経』の薬草喩品は植物の姿が想像されて美しい。鳩摩羅什の漢文がすごく美しいんですよね。

仏教を信仰しているわけでは。

伊藤 信仰って、心から信頼して任せることなのかもしれませんが、私は自分がやってきたことを手放す気になれないんです。坐禅をすると、手放すようにと言われますけど、いつも自分でいたい。自分でなくなって何の意味があるんだろうって思うんです。なんか、手放しちゃいけないなという気がします。

詩を書くときはプロットのようなものがあるのですか。

伊藤 あると、くそったれな詩しか書けません。とにかく書いていくんです。そのうちにだんだん、だんだん違うところに連れていかれて、ここに来たのかというところに落ち着くんです。今まで見たことのないものがパンと開くんです。散文を書いている時も同じです。詩人は誰でもそうだと思いますよ。…

つづきは2025年12月10日号をご覧ください

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