教典入門 理を味わい、身に行う…井上護夫著
著者は「教会に生まれ育ったとか、代々の信仰で親から教えを伝えられてきたとか、そうした人でなければ日常生活ではなじみの薄いお道の言葉を理解するのは、なかなか容易でないとも感じます」と記す。天理教の教典からポイントとなる一節に焦点を当て、原典や『稿本天理教教祖伝』の記述、先人の逸話を参考に、理解の助けとなるようにした。
お道の原典は「おふでさき」「みかぐらうた」「おさしづ」の三つの啓示の書を指す。「おさしづ」では「ぢば」を「元という、ぢばというは、世界もう一つと無いもの、思えば思う程深き理」とする。全人類発祥の地、教会本部の神殿は常に開かれ、親里へ帰る人を迎え入れる。著者は、1972年にシンガポール出張所が開設された際に所長を務めた父と共に家族で5年間、日本に帰ることなく滞在。久し振りに帰国し「教理もよく分かっていなかった小学五年生の心にも、毎日勤めてきたおつとめの祈りの元である、ぢばに帰ってきたという深い感動が込み上げてきた」という。神殿での参拝が日常となった今でも当たり前のことではないと感謝を忘れない。
教典の内容の解説に続けて「教祖のひながた」「先人の道すがら」「現代の話、私とその周辺の話」と順を追うことで、教えが身近に感じ取れ日常生活に生かせるよう工夫した。
定価2090円、天理教道友社(電話0743・62・5388)刊。


