PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

増大する電力消費 「原発依存」の未来でよいか(10月22日付)

2025年10月23日 09時11分

原子力開発の研究者として若い頃は原子力平和利用の夢を抱いたこともある工学者の小出裕章氏は、福島第1原発の事故発生から4カ月後に『原発はいらない』という本を出版した。その発言に改めて注目するのは、生成AIの急速な普及で電力需要が増大し、原子力発電所からの電力調達が急務となっているからだ。

政府は国のエネルギー基本計画で「再生可能エネルギーと原子力を最大限活用」することを打ち出している。新聞各紙は、関西電力が原発建設を検討している美浜原発に関し福井県美浜町の町長が同社による地質調査を了承したことや、経済産業省資源エネルギー庁の幹部が、原子力規制委員会の審査に合格した北海道電力泊原発3号機について、再稼働への「理解要請」のため道や地元町村を行脚したことを伝え、「日本が原発回帰にかじを切った」と強調した。

原発からの電力調達拡大は日本だけの話ではない。8月4日付の『日本経済新聞』は「AIの電力、原発から調達」の見出しで「米テクノロジー大手が原子力発電所からの電力調達を拡大する。人工知能(AI)向けの電力需要をまかなうため、2040年までに掲げる数値目標は日本で稼働中の原発の総出力を上回る。米政府は原子力発電所の新設を後押ししており、新型原発の普及は日本企業の商機につながる」と1面トップで大きく報じた。小型モジュール炉という安全で低コストの次世代原子炉への期待も大だという。

小出氏は原発反対の理由を「ウランを核分裂させる限り核分裂生成物という『死の灰』を否応なく生み出す。燃やしただけで出る死の灰を無にする方法を人類は未来永劫見つけられないのではないか」と書いている。また物理学者の高木仁三郎氏は、生命の前提となる原子核の安定性を破壊することで得られる巨大で「非地上的」な核エネルギーの本質的な危険性を30年前に指摘している。

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に対する新潟県民の意識調査は、賛否がほぼ半々だった。原発推進は国論を二分する問題であり、また国のエネルギー計画が「原発の最大限活用」に依存した未来図であることを十分理解する必要がある。原子力の利用には巨大なリスクを伴うだけでなく、核のゴミ処理という解決の見えない問題がある。「原発に反対することは、地球に生まれたことに感謝し、犠牲になった生物のことを想い、原発エネルギーを使って得られた豊かさに『これでいいのか』と自問することだ」という小出氏の言葉を人類への警鐘と受け止めたい。

「共生」の理想は? ネットで高じる排外主義(11月12日付)11月14日

「人間の安全保障」という言葉を、つい最近までよく耳にした。「国の安全保障」に対し、人の生存と生活の安全を保障する。その理念の普及を日本が積極的に進めたという。1999年、…

各地で出没するクマ 「殺生」に供養の心を(11月7日付)11月12日

全国各地でクマが出没し、人が襲われるケースが続出している。死者数も今年度は10月末までに12人に上り、過去最悪だった2023年度の6人の倍となった。緊急避難的措置として、…

排外主義への警戒 日常レベルの交流が重要(11月5日付)11月7日

コンビニや量販店、飲食店などに行くと、必ずといっていいほど外国人の店員がいる。ほとんどのスタッフが外国人という店も見かける。日常生活において外国人の働き手は、極めて重要な…

施策への反映を意識 データ生かし分析 真宗大谷派教勢調査報告

ニュース11月14日
執政方針の進捗を報告する川田宗務総長

10項目「おおむね達成」 デジタル化など推進 川田総長報告 豊山派宗会

ニュース11月14日

教育学部の設置認可 来春開設、小学校教諭養成軸に 花園大

ニュース11月13日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加