PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

ユニット型ケアの普及 高齢者施設にこそ宗教者を(10月17日付)

2025年10月21日 09時32分

特別養護老人ホーム(特養)では、従来は大半が主に4人の部屋(多床室)だった。だが、近年では各入居者に個室を提供するユニット型ケアが増えてきた。この方式では、10人程度のユニットごとに共有のリビングスペースがあり、入居者は個室とリビングを自由に出入りできる。また、職員もユニットごとに配置され、多床室よりも少人数単位で行き届いたケアができる。厚生労働省の後押しもあって、今後はユニット型ケアが主流になるとされる。

高齢者施設にはサービス付き高齢者住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームなど各種あるが、いずれも個室が基本である。個室があってこそプライバシーも確保され、家族も訪問しやすいし、何よりも個別のケアが受けられるというメリットがある。こうした個室化の流れが特養にも広がってきた。

特養が終の住処である以上、そこで入居者は最期を迎えることになる。多床室の従来型では、終末期に初めて安静室等の名称の個室に入り、職員や家族に看取られて亡くなる。ユニット型ケアでは、自室で最期を迎えるが、各人の部屋がある故に逆に入居者同士の交流も深まりやすいので、終末期にも同じユニットの人を訪問したり、最期の見送りにも立ち会ったりすることができる。

各個室は入居者が好きなように使うことができる。部屋にはそれぞれの信仰する宗教の小さな祭壇や仏壇が置かれて、礼拝や読経をしていることもある。多床室ではなかなかそうはいかないが、これもユニット型ケアならではの宗教面のメリットと言えるだろう。しかし、宗教的ニーズは潜在的にあるのに、職員は介護や看護にそれぞれ忙しいため、そうした宗教面でのケアまで及ばない。

宗教施設が設立母体の特養もあり、そこにはその宗教の祭儀を行う部屋もあったりするが、入居者は様々な信仰的背景を持っている。そうした時、一人一人の宗教ニーズに対応し、こまやかに対応するスタッフも必要ではないだろうか。臨床宗教師の出番も、もしかしたらこういうところにあると思われる。

ただ、その場合、ある程度高齢の宗教者であることが望ましい。なぜなら、自らもまた同じ高齢者であるからこそ、高齢者の気持ちがよく分かり、親身に寄り添うことができる側面を有するからである。寺院や教会を次代に譲った僧侶や教会長が臨床宗教師として、どのような宗教ニーズにも対応することができれば、入居者も安んじて最期の時を過ごすことができるであろう。

戦争に抗議する グローバル市民社会の未来(10月10日付)10月16日

ガザでは子どもや女性、報道関係者や医療関係者など多くの犠牲者が出ており、すでに死者は6万7千人を超えているとされ、負傷者はその数倍に及ぶ。また、イスラエルが国連パレスチナ…

人口減社会と宗教の役割 地域の人々の心をつなぐ(10月8日付)10月10日

少子化に歯止めがかからない。今回の国勢調査も、その点、喜ばしい結果は期待できそうにない。日本の少子化は世界最速ともいわれる超高齢化と同時進行であるが故に深刻だ。しかし、そ…

AIの進化の方向 「人間」の領域との関係(10月3日付)10月8日

AIの発達は文字通り日進月歩といえるスピードのようだ。いまや対話型生成AIは人間的に好感の持てる話し方で質問に答えてくれる。AIがお釈迦様に成り代わればどう教えてくれるだ…

国内外の専門家と共に気候危機の問題と各地域の課題を共有した

気候危機に日豪宗教者声明 「勇気ある決断を」 COP30へ課題共有 WCRP日本委

ニュース10月21日
大みそかの知恩院三門前の長蛇の列。参拝者はここから大鐘楼まで約800㍍歩く=知恩院提供

事前予約制、参拝料導入 混雑の緩和・事故防止図る 知恩院除夜の鐘

ニュース10月21日
威勢よく纏を振って進む万灯練り行列

連休で万灯練供養盛況 入滅時刻に鐘打つ 池上本門寺お会式

ニュース10月21日
  • お知らせ
  • 「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
    長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
  • 論過去一覧
  • 中外日報採用情報
  • 中外日報購読のご案内
  • 時代を生きる 宗教を語る
  • 自費出版のご案内
  • 紙面保存版
  • エンディングへの備え―
  • 新規購読紹介キャンペーン
  • 広告掲載のご案内
  • 中外日報お問い合わせ
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加