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育つ場

〈コラム〉風鐸2025年2月26日 13時42分

先日取材に伺った寺院は江戸時代、桜の名所だったという。花見客でにぎわう境内の様子が浮世絵に残るが、戦災で伽藍もろともに焼け当時の桜は一本もない。檀家さんたちの寄付で少しずつ植樹し、かつての景観を取り戻そうとする試みが続けられている◆首相をはじめ著名人が来寺した際には記念植樹も行われてきた。そのプレートを見ていると、同時期に植えられた木でも太いもの細いものがあることに気付いた。住職さんも「よく分からないけど、土壌や日当たりでこれほど変わるんだね」と不思議がっていた◆近年よく、成長できる場が大切だという話を聞く。向上心をかき立てられる研修や新たな仕事に挑める環境、刺激を与え合える人間関係があると、職場の雰囲気だけでなく会社の業績まで良くなるのだと◆自分のことはとりあえず棚に上げるとして、周りを見ていると大きく伸びる人と何年たっても変わらない人がいる。当人の意識や努力次第だと言ってしまえばそれまでだが、転職して人が変わったような活躍をする人もいるから、本人のせいだけとも考えにくい◆くだんの寺院でも、伸びの遅かった桜を別の場所に移植したら大きく育った例があったという。仏教で悉有仏性というように誰にも備わった力がある。もうすぐ春。一人でも多くの人がふさわしい場を得て、人生の花が開くようにと願わずにはいられない。(有吉英治)

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