精神医学と仏法で衆生救済 悩み相談や唱題を活用
埼玉県行田市・日蓮系単立要唱寺 斉藤大法住職
精神科医の経歴を生かしカウンセリングを行っている。脳科学など医学的知見から瞑想の働きを説明し、求める人には唱題も勧めて根源的な安心へと導く。医学と仏法を両輪に人々の苦と向き合い続けている。
長年の経験を基に執筆した『しつこい怒りが脳から消えていく本』が1月に刊行された。心の奥にくすぶり続け、何度となく再燃する「しつこい怒り」がなぜ起こるのか、脳の構造から思考パターンを解説した上で、今できることに集中する、「怒り帳」を作るなど、対処法を具体的に提示する。
さらに瞑想の効果も科学的に示す。自坊で行っている「唱題プラクティス」は、おなかの底から声を出し、魂全体でただひたすら題目を唱えるもので、シンプルかつ究極の瞑想法だという。
在家の出身で科学少年だった。難病にかかり尼僧を紹介されたことから仏教との縁が始まった。高校生になり体調が回復すると、心も救える医者になろうと志を立て医学部に入学。無事医者になり大学病院に勤務したが、業績や論文ばかりを求められる日々に疑問を感じ、悩むうち再び体調を崩した。
尼僧の所に相談に行くと、寒修行中で信者らと一緒に唱題することになった。必死に題目を唱えていると、合掌した手が自然に上がっていった。「意識ははっきりしていて、自分でもびっくりした。そのうちに迷いが消え去り、軽やかで平安な心になった。自我を超えた、開かれた世界だった」
この体験を苦しんでいる人と共有できるようにと、唱題プラクティスを毎週土曜、主にオンラインで続けている。コロナ禍までは寺で週に1、2回行っていたが、オンラインにしたことで海外にも参加者が広がった。
カウンセリングは随時予約を受け付け、数時間じっくりと向き合う。カウンセリングだけで症状が落ち着く人もいるが、希望に応じて唱題も勧める。精神科に通って薬が増えるだけだったという人が「題目を唱えていると安心できる」と快方に向かうこともある。
唱題は一遍だけでも尊いという。しかし、目指すのは題目と一如となる唱題だと語る。「三昧に入り真の題目を唱え切ると、題目が向こうからやってくる。妙法に任せれば、仏陀の慈悲と一つになり、じかに癒やされる。仏様に触れられてこそお寺の役目が果たせる」
(有吉英治)





