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ガザへの軍事進攻 住民の苦難の歴史続く(11月8日付)

2023年11月10日 14時30分

「ガーダ パレスチナの詩」(古居みずえ監督)というドキュメンタリー映画がガザでの紛争を機に緊急再上映されている。イスラエルの建国以来の迫害抑圧の中で、過酷だが郷土を愛して暮らすパレスチナの人々の日常が活写され、現在も苛烈な攻撃で奪われているものの大きさを実感する。そこには紛れもないいのちの躍動があり、この争いが決して宗教対立ではなく、大国の利害に翻弄され続ける生身の人々の悲劇であることが再認識される。

2005年の作品。難民キャンプ出身で学者を目指して勉学にも励む主人公のガザの女性ガーダは結婚出産でいのちを授かるが、住民はイスラエル軍に常時脅かされ田舎町でも日常的に威嚇機銃掃射がある。街に攻め込んだ戦車に人々が投石で抵抗する中、銃撃から逃げようとした親戚の13歳の少年が後ろから射殺される。これを機に住民の苦難の歴史を直視しようと老女たちから聞き取りを進めるガーダは、誰もが家や畑を戦車で破壊されて生活を奪われ、命からがら避難しつつ帰郷を夢見て助け合いながら暮らす様を知る。

背景として第1次大戦時、英国がアラブとユダヤ双方を味方に付けようと植民地からの独立や居住地建設という相反する約束をし、裏では列強間で中東の分割を密約して「三枚舌外交」と批判された経緯を忘れてはならない。現在も米国では「イスラエルロビー」が強い政治力を持ち、そこには膨大な政治資金や票、石油など様々な利権が絡む。元々福祉団体で抑圧に抗して住民選挙で選ばれたハマスを、単に「イスラム過激派」と欧米流色眼鏡で見るのも誤りだ。

国際法に反してユダヤ人入植を強行し、抵抗活動には猛攻撃して住民を隔離する壁を建設した時期、イスラエル軍兵士がアラブ人妊婦の腹に銃の照準を合わせた絵柄に「1発で2人殺害」と書いたTシャツを着用して世界中から指弾された。その生命軽視を見ても、地上侵攻で「人道的配慮」などあり得ず、空爆以上の無辜の犠牲者が出ることは明らかだ。

ガザ住民はウクライナ難民のように自国から脱出するすべさえなく死の恐怖に日々おびえ続ける。イスラエルによる攻撃批判の声は世界に広がり、ニューヨークでの抗議行動では先祖がアウシュビッツから生還したという女性が「私たちユダヤ人の名における大量虐殺を許さない」と訴えた。ムスリム共通の挨拶「アッサラーム・アライクム」もユダヤのヘブライ語挨拶「シャローム」も、共にいのちへの「平安を」との意味だ。宗教者も役割を担う時ではないか。

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