ドバイCOP28 待ったなしの温暖化対策(11月10日付)
1992年に採択された「気候変動に関する国際連合枠組条約」は2022年10月時点で世界の198の国・機関が締結している。その28回目の締約国会議(COP28)が30日から、アラブ首長国連邦のドバイで開かれる。
1997年の京都のCOP3では温室効果ガス削減目標に関する「京都議定書」を採択。2015年に開かれたパリのCOP21では、産業革命前からの平均気温上昇を少なくとも2度未満に抑え、1・5度未満を目指し、各国の温室効果ガス排出量削減目標を設定した「パリ協定」が採択された。
このCOP21に先立ってカトリックの教皇フランシスコが気候変動の危機に警鐘を鳴らした回勅「ラウダート・シ」を発表している。同教皇にとって第2の回勅だが、1件目は前任者から引き継いだものとされ、事実上、最初に強く打ち出したテーマだ。ドバイのCOP28開幕を前にこの回勅を踏まえ、フランシスコは10月4日、再び使徒的勧告「ラウダーテ・デウム」を公表した。
地球規模の気候変動の明らかな現象(兆候という表現は軽過ぎる)は我々自身がこの夏、経験した。「過去最高」の記録や自然災害は短期的な変動に属する可能性もあるが、例えば、南極やグリーンランドの氷床の融解は確実に進んでいる。
「ラウダーテ・デウム」はその影響の深刻さを「すでに極地の融解は数百年間は回復できない」レベルであると強調する。過去に例のないスピードで進む温暖化をこのまま放置すれば、さらにひどい被害は避けられないだろう。気候変動の起源が人間であり、「人為的」であることを疑うことはもはや不可能だ。CO₂排出による「温暖化」論を嘲笑する人々もいるが、これが「人間的、社会的問題であることを最終的に認めるべきだ」という。
ただ、例えばアメリカの共和党支持者の多くはCO₂排出による「温暖化」論を重視しないという世論調査のデータがあり、米国内に関しては民主党と共和党の政治的対立の側面が目立つ。日本でも経済重視の保守系論者の中に、CO₂抑制の環境保護運動を「新しい宗教」と攻撃する人がいる。再生可能エネルギー開発に関連して受託収賄容疑で政治家が起訴される醜い事件も起き、「温暖化」回避のビジネスにも人間の欲望を見なければならない現実がある。
だが、このように愚かなことを繰り返す間に、私たちの子孫が生きる地球の環境は確実に悪化しつつある。欲望ではなくモラルによって未来を切り開く必要がある。