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処理水の安全性論議 被害者間の分断持ち込み(11月17日付)

2023年11月22日 09時54分

事故を起こした東京電力福島第1原発でたまり続ける高濃度の放射能汚染水を濾過処置した処理水の海洋放出問題。福島県富岡町にある東電の「廃炉資料館」を訪れると、事故の説明などと並んでトリチウムを含む「処理水の安全性」を強くアピールするパネルや映像、資料に大きな力が入れられている。

一方で沿岸部各地では、この問題が公の場で人々の話題になることが予想外に少ないようにも見える。檀家に漁業者も多い地元住職は「皆、諦めかかっている。反対しても国や東電はどうせやるんだから」と話す。安全だと信用はできないが、もしその不安を口に出せば将来の子孫の代にわたって操業できないようになり、自分たちの首を絞めることにつながるから、という漁業者もいるという。いわき市の魚市場で店主と話しても、「風評も何も、影響などない」とあえて語気強く否定した。

国内では原発に反対の人たちを中心に「安全性に不安がある汚染水を流すな」との声と、「風評被害が心配」との漁業関係者や住民らの声がある。前者から「『風評』との言い方は危険性にふたをするもの」との意見が出るケースが見られるのは、「風評」が「安全だが、間違った噂の方が問題」というニュアンスを含み、政府が強調するのがまさにそれだからだ。

だが「科学的に安全性が示された」というが、比較で出される他原発でのトリチウム水はあくまで2次冷却水なのに、こちらは炉心溶融で超高濃度の放射性物質・死の灰に直接触れた炉内の水。その違いも、「吸着処理」で残った方の他の高濃度汚染物質がどうなっているのかもほとんど説明がない。

経済産業省小委員会資料では現在タンク群にたまる「処理水」中のトリチウム総量は約千兆ベクレル。事故前の通常運転時の実質排出量は毎年1・4兆~2・2兆ベクレルだったので500年分にも相当するが、それを「30年をめどに」排出するとしており、東電資料では年間放出量を「22兆ベクレル未満」としている。

「憲章」で原子力利用の「増大」を明記し、電力会社からの出向も多い国際原子力機関(IAEA)の「お墨付き」も中立とは見ない意見が根強い。他の処理法の選択肢を示さず、まず「放出ありき」の国策が、お互い原発事故の被害者である漁業者と市民との間にあえて前記のような分断をつくり出しているように見える。被災者に寄り添ってきた住職は「避難への補償でも住民の間に悲しい亀裂ができた。原発の人間への罪は人々の気持ちまでかき乱すことだ」と訴える。

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