PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

最後の帰還兵

〈コラム〉風鐸2025年7月16日 11時35分

20年近く前、ある寺の梵鐘を鋳造する現場を取材した。鋳造工場に檀家らが集まり、赤々と溶けた金属を鋳型に流し込む職人の作業を見守っていた。聞けば、その寺にもかつて梵鐘はあった。太平洋戦争中、国の金属類回収令を受けて供出したまま、鐘のない月日が流れていったそうだ◆浄土真宗本願寺派の調査によると、宗門寺院の約9割が寺の梵鐘を供出したという(『宗報』2021年3月号)。また、供出した鐘が戦後になって戻ってきたとする回答も5%余りあった。終戦後の混乱を想像するに、数字以上に奇特な例と言えるだろう◆終戦から80年という歳月を考えると、これまた不可思議な縁と思わざるを得ない。本紙5月23日付で、供出した喚鐘が戻ってきたという記事を読んだ。滋賀県甲賀市の浄土宗誓光寺の喚鐘で、遠く離れた山口県内の一般家庭から知らせを受け、戦後80年という節目の年に帰還を果たしたのだという◆「『最後の帰還兵』としてお帰りいただいた」との同寺住職の感想に実感がこもる。冒頭の鋳造式の取材では、鋳込みに立ち合った高齢男性が「これで戦争が終わるのです」と涙ながらに語った姿が印象に残る◆今なお、全国には釣り鐘のない鐘楼が多くあることだろう。日常の中で鐘の音を耳にする機会はめっきり減ったものの、鐘の姿から平和に思いを巡らせる季節が今年も近づいている。(三輪万明)

被災地の秋

12月3日

秋の訪れは遅かったものの、道すがら目に入るセイタカアワダチソウ(背高泡立草)は今年も景色を鮮やかな黄色に染めた。この植物は明治期にもたらされた北米原産の外来種で、根から「…

謝ったら死ぬ病

11月26日

「謝ったら死ぬ病」というネットミームがある。自分の言動の非を絶対に認めない態度を皮肉る表現だ。パワハラ騒動の県知事や学歴詐称疑惑の市長が代表例だが、今やこの病は社会全体に…

静かに熱く

11月19日

4年ごとに開かれるスポーツのイベントと言ったら、まずはオリンピックだろう。夏季五輪が開催されるのは4で割り切れる西暦年。次回は3年後、2028年の米国ロサンゼルス大会だ。…

山上被告裁判 政治家と教団の関係を問う(11月28日付)

社説12月3日

寄り添いでこそ出会う 見えない「不在者」(11月26日付)

社説11月28日

「死」を考える 生命は生きようとしている(11月21日付)

社説11月26日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加