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交流拠点へ宿泊施設運営 法座や子ども食堂も

沖縄県読谷村 浄土真宗本願寺派真常寺

サロン1階の「合掌フロア」では子ども食堂も開かれている(中央奥が菊城住職) サロン1階の「合掌フロア」では子ども食堂も開かれている(中央奥が菊城住職)

沖縄県読谷村の浄土真宗本願寺派真常寺は昨年12月、寺から北に約6㌔の場所で宿泊施設「真常寺読谷サロン」の運営をスタートした。菊城元明住職(48)は「誰もが自由に談話できる『新しい形のお寺』をコンセプトにしている」と話す。

サロンは別の事業者のホテル経営を引き継ぐ形で建物を改装。3階建てで2、3階にツインの客室6室、1階に仏壇を安置した多目的の「合掌フロア」や最大8人利用できる個室、全16席のテラスなどを備える。

菊城住職によると、檀家制度のない沖縄では寺院運営の財源確保が課題で、サロン経営は寺の改修費を得ることを直接の目的に発願した。場所は丘の上から海を一望できる立地。特に夕日が絶景で、客室は全室がオーシャンビューだ。

料金は中クラスに設定しつつも経験豊富な料理長が本格的な沖縄料理を振る舞うのも魅力。当初は「離島など遠方からの参拝者が宿泊できるように」との考えだったが、利用者の半数が海外からの旅行客で、残りは日本人観光客が多いという。

菊城住職は「収益的にはまだトントンの状態だが『海がきれいに見える』と地元の人が利用することも少なくない」と説明。このほか客室などに仏教聖典や仏教関係資料を置くなど一般の利用者への布教の縁づくりに余念がない。サロンで法座や子ども食堂を開くこともあり、伝道や地域交流の拠点となることを目指している。

菊城住職は熊本県の宗門寺院の出身。20歳の頃に真常寺で法務員として働きだしたのが沖縄に移住したきっかけ。出身寺院に帰った時期もあるが、檀家制度に起因する本土の固定的な布教活動が肌に合わず「檀家制度のない沖縄での法務は毎日が新鮮」と再び真常寺に戻った。

沖縄での伝道の難しさは「檀家制度がないので嫌われるとすぐに別のお寺に行ってしまわれる。つまりお寺は選ばれる」点にあり、真常寺では納骨堂の利用者ら関係者約千人に毎月寺報を送るなど細かい配慮を欠かさない。

他方、本土のように寺院間で「檀家をとった・とられた」というようなトラブルはなく、やる気さえあれば、しがらみなく自由な発想で伝道に励める可能性が大きい。

コロナ禍を機に始めたキャンピングカーで施主のもとに赴く「動くお寺」「移動式布教所」など、あまりうまくいかなかった取り組みもある。しかし菊城住職は「本土とは違ってシビアな環境だが、新しいお寺のスタイルを模索することにやりがいを感じている」と力を込めた。

(池田圭)

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