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第22回「涙骨賞」を募集
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弘法大師に心引かれ僧へ ごまかさない生き方説く

和歌山県高野町 高野山真言宗親王院 ロボアム真光氏

普段は笑顔を絶やさず、聞き役に徹するロボアム氏 普段は笑顔を絶やさず、聞き役に徹するロボアム氏

高野山真言宗総本山金剛峯寺塔頭親王院で30年近く修行に励んできた。フランスのパリ出身で「真光」は僧名。本名はティエリ・ロボアムといい、カトリックのイエズス会所属の神父でもある。26歳の時に日本に赴任するよう辞令を受けて来日、米国バークレー大で宗教学の博士号を取得し、上智大(東京都千代田区)の教授も務めてきた。そんな彼がなぜ高野山の僧侶になったのか――。

来日後、東京・上石神井のイエズス会の寮に入り、司祭を目指して勉強する日々を送った。高野山を訪れたのは28歳の時、日本語学校の同級生から誘われたのがきっかけだった。そこで僧侶が熱心に語って聞かせた弘法大師という存在にひきつけられたという。

「僧侶がお大師様のことを心を込めて語る姿に、普段の日本人には見られない何かを感じた。日本人に大きな影響を与えたお大師様のことを、もっと知りたいと思った」

30代で高野山大大学院に入り、本格的に密教を学ぶ。事前にローマ・イエズス会総本部にいる総長の特別許可を取った上での入学だった。親王院に住み込み、寺の用事をしながら学校に通った。

大学が所蔵する弘法大師の著書をむさぼるように読んだ。「お大師様は唐に渡り、恵果阿闍梨に認められた。海外でなぜあれだけ人々に受け入れられたのか。私も日本では外国人だから、お大師様に親しみを感じるのです」。研究者にとどまらず、得度して僧侶となり、加行も済ませた。

多くの日本人の心の奥底まで理解するための選択でもあった。「日本ではキリスト教徒が非常に少ない。この状況は私が生きている間は変わらないだろう」

5月、地震と豪雨で未曽有の被害が出た石川県輪島市の天王寺で1カ月過ごし、地域の人の話に耳を傾けた。「皆さんと共に祈ることができたのはとてもうれしいことでした。もしも私が密教を学んでいなかったら、ただの観光に終わっていたことでしょう」

大自然があり、人のつながりを大切にする地方に可能性も見いだす。この夏、親王院の山下良仁監事が復興を託された岐阜県中津川市の寺に移る予定だ。「今の日本は人々が互いのつながりを失い、バラバラになりかけている。そこでは自分と他者をごまかして生きる余地が大きくなる」。独自の普遍性を保ちながら周囲の存在を素直に受け入れてきた密教に、現代社会を救う道があるとの思いは揺るがない。

(岩本浩太郎)

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