CF・終活相談で広がる縁 公共性重視の境内整備
福島市・曹洞宗安洞院 横山俊顕住職
四季折々の美しい自然に囲まれた福島市の曹洞宗安洞院は、相続や葬儀、墓地の問題に対応する「終活相談」や公共性を重視した環境整備を通じて、地域住民に寄り添う寺院として進化を続けている。
横山俊顕住職は「お寺は公共の場であり、仏様やご先祖様のためにある」との信念から環境整備と設備投資に努めてきた。近年は寺院の新たな資金調達の手段としてクラウドファンディング(CF)に注目しており、安洞院の末寺・普門院の維持管理のための資金を募るCF「もみじ基金」は2年連続で目標金額を大きく上回った。
2015年の住職就任直後から境内整備に努め、建物の完全バリアフリー化を実現した。参拝者が心安らかに過ごすことができるよう、生活感を排除した非日常的な空間づくりのための設備投資を現在も続けている。
10年まで在籍した曹洞宗総合研究センターでは、急速に変化する社会情勢に対応するため、墓地や葬祭の在り方を研究した。その知見は同寺の「終活相談」に生かされている。営利を目的としない寺院だからこそできる相談者に寄り添った丁寧な対応で、地域住民の信頼を集めている。
横山住職は全国各地の寺院のCFの事例を取材し、宗内の学術大会などで発表してきた。「CFが成功した事例は、地域コミュニティーを軸とした対面での寄付の割合が高いところが多い。CFといえばインターネットのイメージが強いが『あの住職だったら応援しよう』といった動機で寄付してくれる人も多く、日頃の地域での活動や縁が重要」と分析する。
横山住職自身も普門院の境内維持管理と植林事業の費用を募るCFを実施。外部の業者に委託せず、ホームページなども自前で整備した。『小倉百人一首』の歌枕の地として知られる普門院の美しい景観を未来に残したいと寄付を募ったところ、第1回の24年は、目標金額30万円を大きく上回る約116万円の寄付が集まった。昨年実施した第2回のCFでは第1回を上回る150万円超の寄付が集まった。
「CFを通して新たなご縁を結ぶことができた。CFはみんなが幸せな形で資金を調達できる方法。これからの時代の寺院護持を考える上で有効な手段だ」と話す。
(奥西極)








