PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第23回「涙骨賞」を募集

AIと人間 問われる「いのちの尊厳」(6月12日付)

2026年6月17日 09時47分

生成AIを使用する機会が急速に増えてきて、その恩恵に浴することも多い。こなさなければならない仕事がずいぶん楽になり、AIのおかげで何とか一息つけると考えている組織や集団も多いことだろう。悩みを打ち明けるのにAIだと傷つけられることなく、穏やかな言葉が返ってくるので安心だという人も珍しくないようだ。

ところが、実際にAIを用いていくと、しばしば「人間ではない」ことから生じる難問に出合うことにもなる。

AIによる自動運転が進んだ場合、人間の運転よりは安全性が高まることが期待されている。だが、それでも事故が起こった場合、その責任は誰が取るのか。戦争でAIを用いて殺害対象を見定め、砲弾を発射することも増えている。このように責任を取る存在がいなくなる、あるいは不明確になるということがある。

死者をAIで再生して現前させ、会話を共にすることができる。是枝裕和監督の映画「箱の中の羊」は、悲しみを癒やすためにAIを駆使して死者を再生させ、死んだ我が子としばし共に過ごすという設定だ。だが、AIによって再生された死者(ヒューマノイド)は生者の意思次第で抹殺できる存在でもある。生者の都合で利用する「生き物」として作られた存在なので、処分もできるのは当然ということだ。

映画や文学作品では、処分されるヒューマノイド、廃棄される再生人間というテーマがしばしば登場する。スティーブン・スピルバーグ監督の映画「A.I.」(2001年)は、凍結された病気の子どもが治癒可能になったために、代替の子どもとして作られたヒューマノイドが処分され、ガラクタの世界をさまよう話だ。カズオ・イシグロ氏の小説『クララとお日さま』(21年)では、処分可能な「AF」、つまり人造友だちが主人公になっている。

現代の生命科学が、人体を作ったり作り替えたりすることができるようになっていることも想起される。「再生医療」に多くの期待がかけられているが、それは人体の大切な部分の作り替えや代替物の作製を目指すものだ。将来は移植することを展望に入れて、臓器もどきのオルガノイドも盛んに作られている。

このように代替生命を作る科学技術も発展しているが、それは人のいのちを処分できるものへと近づけていくことにもなる。そうなると「人のいのちの尊厳」が脅かされていくのではないか。倫理的宗教的な、奥深い射程を持つ問いである。

核のゴミ最終処分場 未来の子孫の安全を(10月30日付)11月4日

原発の使用済み核燃料を最終処分するフィンランドの「オンカロ」に同国政府から操業許可が出た。地下400㍍、延長5㌔㍍の坑道から掘った竪穴の土中深くに最大6500㌧もの核のゴ…

AI僧の登場 学び合えるのは人間同士(10月28日付)10月30日

ロボットにAI(人工知能)を搭載したAIロボットが登場した。AIに仏教の知識を詰め込んだロボット僧も試行されている。人間の悩みや苦しみに対して、ロボットがブッダの教えを示…

ICCを守ろう 国際社会の法の支配(10月23日付)10月28日

米国のトランプ大統領は国際刑事裁判所(ICC)を敵視し、2020年以来繰り返し検察官・裁判官への制裁を重ねてきた。26年8月18日には赤根智子所長ら2人を制裁対象にすると…

挙手で採決を行う議会

審査会開催、管長に要望 前内局の金融保険問題 黄檗宗臨宗

ニュース11月5日
鳥井奉賛会長㊨に表札を手渡す加藤宮司

遷宮へ奉賛会発足 住吉大社

ニュース11月5日

法然門流研究の課題 若手研究者らが議論 龍谷大世界仏教研究センター

ニュース11月5日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加