防衛費拡大に否
中国の軍事費の拡大や米国からの要請を背景に、日本の防衛費は年々増加している。しかし、軍事費の拡大が社会や経済にどのような影響をもたらすのか、歴史を踏まえて冷静に考える視点が必要だ◆1980年代、米国のロナルド・レーガン政権はソ連との対抗の中で軍事費を大幅に増やした。当時は軍事研究が宇宙開発やIT分野にも波及し、後の技術革新の基盤になったとも指摘されている。軍事投資が民間技術へ転用される余地が比較的大きかった時代だった◆しかし現在は事情が異なる。兵器開発はAIやミサイル防衛など高度で専門的な分野に集中しており、軍事技術が民間産業へ広く波及する可能性は以前ほど大きくない。さらに米国から購入する防衛装備品の契約額は2023年には1兆円を超え、国内の他産業への経済効果は限られている◆被爆者として核兵器の惨禍を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳氏は「防衛費拡大は戦争への道につながる。絶対にやめさせなくてはいけない」と語る。戦争の現実を知る立場からの重い言葉だ◆宗教界は戦前、翼賛体制に沈黙し、戦争の流れにのみ込まれた苦い経験を持つ。もし将来、この防衛費拡大が戦争へ突き進む歴史の岐路だったと振り返ることになれば、同じ轍を踏むことになる。だから宗教者は声を上げ、反戦と平和を強く訴え続けなければならない。(赤坂史人)









