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放射能汚染回復は遠い 原発事故15年の飯舘村(3月4日付)

2026年3月6日 10時24分

「まだまだこんなに放射線量が高い」。東京電力福島第1原発事故で長く全村避難となった福島県飯舘村で休業中の農園管理をしながら村内各地の放射線量を測定し続ける伊藤延由さんは、結果をSNSに頻繁に投稿している。「国など公的発表の数値は都合の良い低めの線量だったり、全体を表していない。何よりも今、測らねば値は変わっていく」と動機を説明し、各地で講演もしている。

数年前で0・73マイクロシーベルト毎時とまだ高かった村内の定点は、それでも除染の結果であり、事故直後は5・3もあった。杉皮のセシウムはかつて1万6千ベクレルもあったなど推移がよく分かる。村の除染には国から村予算100年分の4千億円が投じられたが「実施したのはしやすい所だけで、全面積のわずか16%」。それでも元には戻らない。

「事故当時の冬には葉がなく除染対象にならなかった落葉樹も根から放射能が入る。落ち葉で土は広範に汚染されキノコは濃縮します」。元々自然や有機農業が好きで、山菜や樹々の根元なども調査を続ける伊藤さんが「公的には放射線のことは知らされない。こんな所で子育てしたり、移住を招致するのは問題」と指摘するのと同じことを村の神社の宮司も訴えた。

人里離れた山中で稼働したバイオマス発電所は、山林の皆伐による土砂崩れの恐れも指摘される上、燃やすのは汚染された樹木。出資者は東京電力ホールディングスや大手ゼネコンだが、「せめて罪滅ぼしにつくった電気を村に無料で供給する発想もなく、飯舘にどこまでも迷惑をかける」との憤りの声も宮司ら2人に共通する。

15年目に入っても村南部の十字路の舗装道路上は0・2マイクロシーベルトだが、前に除染された路肩の草むらでは1・5に跳ね上がる。緩傾斜の坂下なので汚染物が流れてくるのが原因だ。隣接町境の山間部の国道は、路上でも1・9マイクロシーベルト。すぐ横の腐葉土上の空間は4・2もあり、地表では7・9というとんでもない高線量だ。林の中に入るわずかな幅の踏み分け道さえことごとく遮断され、大自然をも汚しつくす原発事故の現実を思い知る。

「事故以前の数値に下がった時が“復興”だが、セシウム137が放射線を出さなくなるまで270年かかる。だから復興はない。原発の存在は許せない」と伊藤さんがきっぱり話すように、事故被害からの回復はほど遠い。かつて豊かな自然で「日本一美しい村」に数えられた飯舘。「原発のそこないたるは最も憂たき事……万物が汚れ、村人は流浪の民となり」との宮司の祝詞が胸に刺さる。

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