東洋学術研究 第64巻第1号…東洋哲学研究所編

東洋哲学研究所が2024年に開いた連続講演会「AIと信仰・宗教・思想」全4回の内容を収める。AIと人間の関係性やAIを巡る今後の展望について、ロボット工学や宗教哲学、生命倫理、仏教学などの観点から論じられている。シンギュラリティー(技術的特異点)に到達し人間を凌駕する可能性についても視野に入れ、改めて「人間とは何か」という命題が、AIのあり方や用いられ方への考察を通して問い直されている。
なおこの号は、対談の録音データの文字起こしから掲載用の原稿整理までの一連の編集業務を、生成AIの一種「ChatGPT」を用いて行った、と注記されている。その試みを通じてAIの実力を高く評価しつつも、AIにとっていまだに難しいと思われる仕事として「対談が行われたその場の臨場感を言葉に込め、人間の生にとって重要な『心のひだ』に触れる表現を捉えていくこと」を挙げている。
巻頭特集は、東洋哲学研究所創立者・池田大作の教育思想を捉え直す「人間教育とは何か」。24年9月にマレーシアの国際イスラーム思想・文明研究所(ISTAC)で開かれたシンポジウム「平和と共生」の発表録も「仏教とイスラームの対話」と題して掲載している。
定価1400円、東洋哲学研究所(電話042・691・6591)刊。