PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン

減胎手術の実施で いのちの倫理どう確保する(9月17日付)

2025年9月19日 09時14分

大阪大病院が、同時に複数の子を宿す多胎妊娠に対して、子宮内で胎児の数を減らす減胎手術を行っていることを先頃公表した。母体の安全のため、かつ臨床研究とはいえ、これが広がると障がいなどを理由とした“いのちの選別”につながる危惧もある。生殖医療での重大な生命倫理問題に、宗教界からも対応が必要だ。

近年、不妊治療のための排卵誘発剤などで双子以上の多胎妊娠のケースが増え、早産や妊婦の合併症などのリスクがある。同病院では昨年、倫理委員会の審査を経た上で、三つ子以上か重篤な病気を持つ20~40歳代の多胎の妊婦計10人に対して妊娠11~13週に手術を実施し、全てのケースで減胎を確認したという。

手法は妊婦の腹に刺した針から胎児の心臓に薬物を注入して死に至らしめるのだが、母体保護法に定める人工妊娠中絶には当たらないとされる。ただ、精神的負担もあり、施術後も妊婦には長期的心理サポートが必要だとしている。

減胎手術は1986年に長野県の諏訪マタニティークリニックが実施を初めて公表。産婦人科の学会などの「堕胎罪に当たる恐れがある」との批判にもかかわらず継続し、2020年12月までに1397例を重ねた。この間、学会は容認に転じ、厚生労働省の専門部会が母子の生命保護の観点から認められ得るとの見解を示しつつ、個別に慎重な判断を求めている。

課題はまず安全性だ。同大病院では「手術の確実性は高い」としつつ、減胎対象ではなかった胎児の10%近くが死亡した。16年には、五つ子を妊娠して大阪の病院で手術を受けた女性が医療ミスで1人も出産できなかったとして裁判に訴えた。

そして倫理面。同大病院では、減胎対象を母体や他の胎児への影響を考慮して決め、選別を目的とした遺伝子や性別の確認はしないとしている。だが新型出生前診断などで胎児の障がいの可能性は比較的簡単に分かる。同クリニック院長は「当初は数を減らして出産の危険を避けることが目的」だったとしながらも、実際には親の苦渋の決断によって障がいのある胎児が除かれる例がほとんどだという事実がある。

「安全に生まれてほしいのが望み。もし障がいがあっても生き生き人生を歩める社会であれば……」との院長の葛藤に、ある宗教者は「複数の選択から“最小の悪”を選ぶ緊急避難だが、それでも当事者は罪の意識で苦しむ。そういう不条理に直面した人の救いまで先回りした対応こそが宗教的生命倫理のあり方」と述べる。

分岐点の非核平和主義 共存の理念を忘れるな(1月28日付)1月30日

日本人のノーベル賞受賞1、2番目の湯川秀樹、朝永振一郎両博士(共に物理学)らの著作『平和時代を創造するために』の巻頭に「核兵器の脅威から人類を守る目標は、他のどの目標より…

縮小の中の成熟化 高齢宗教者の出番(1月23日付)1月28日

現在、日本における65歳以上の高齢者は約3600万人、人口の約3割に当たる。厚生労働省の推計によれば、2070年で高齢化率はピークを迎え、約4割の水準になるが、この時には…

AI進化の先に 心と深く関わる領域を担う(1月21日付)1月23日

AI(人工知能)の活用領域は急速に拡大している。このことが人類の未来に何をもたらすのかを考える必要がある。サイエンス作家でZEN大学教授の竹内薫氏は「AIはこれからさらに…

祖願達成へ国際布教の重要性を説く持田日勇・総本山身延山久遠寺法主。隣は発刊した書籍

海外布教、書籍で支援 英訳遺文と機関誌合本刊行 “四海帰妙”実現へ活用 日蓮宗

ニュース2月2日
開会の挨拶をする野口宗務総長

金融資産の運用議論 会計取扱・資産運用細則 文書決議へ 妙心寺派宗制審議会

ニュース2月2日
閉廷後に東京都内で会見する男性(左端)と弁護士ら

旧統一教会・2世訴訟 「人間の尊厳奪われた」 東京地裁口頭弁論 「祝福」の男性陳述

ニュース2月2日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加