大学の持続可能性探る
龍谷大 安藤徹学長(57)
4月に第20代学長に就任。大学史上初の僧籍を持たない学長となる。
生家は岐阜県大垣市の真宗大谷派の門徒で、篤信の祖父が毎朝、正信偈で勤行し、朝に供えた仏飯を夕食に食す姿を見て育った。「それが今につながっていると思う。仏教や真宗に変に身構えることはこれまでなかった」と振り返る。
「『僧籍を持たない学長』として不安もあるが、私一人で全てをやるわけではない。私なりの仏教の受け止め方はいかに自己中心性から解き放たれるか。それが本学の提唱する『自省利他』や『仏教SDGs』の基盤にもなると思う」
大学創立400周年の2039年度に向けて取り組む長期計画「龍谷大学基本構想400」では「『まごころ~Magokoro~』ある市民を育む」を掲げるが、専門の平安朝文学の見地から「『まごころ』は相手がいて発動するという意味では『真』ではなく『間』をあてるとしっくりくる。そうした心のありようについて自省利他を和語に表したといえるかもしれない」と読み解く。
27年度の新学部設置と28年度にJR京都駅東側の敷地に産学の交流拠点「共創HUB京都」(仮称)を開設することが直近の課題。いずれも異分野や地域などとの連携強化を通した創造性がポイントで、そこに大学の持続可能性を見いだす。
座右の言葉はフランスの詩人、マチュラン・レニエの「思い切ってやれば、めったに不運に出会わない」。困った時やためらった時などに心の中でつぶやき、自らを鼓舞してきた。「なるとは思っていなかった学長をやっているのもチャレンジ」と味わっている。
(池田圭)