PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座

COP29が示す分断 気候正義の担い手の宗教(11月29日付)

2024年12月4日 09時40分

アゼルバイジャンの首都バクーで24日まで、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が開かれ、開発途上国への資金援助を2035年までこれまでの3倍の3000億㌦(46兆円)を目標とする合意を掲げて閉会した。

今回の陰の主役は米大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ氏だったかもしれない。トランプ氏は1期目の大統領在任中に温室効果ガス排出削減に関する「パリ協定」から脱退(バイデン大統領の就任後復帰)。このたびの選挙期間中に同氏は「(化石燃料を)掘って掘って、掘りまくれ」とアジテーションし、反・脱炭素の主張をエスカレートさせている。当選後、いち早く環境保護局長官予定者を指名し、アメリカ・ファーストの推進に期待を寄せた。

その影響もあったか、COP29には暗雲が垂れ込めた。会期を2日間延長したが、気候変動の影響が大きい小島嶼国などの代表らが支援レベルの低さを不満として議場から退席。一方では、トランプ氏と同じく大統領が脱炭素論に批判的なアルゼンチンが代表団に帰国命令を出すなど、温暖化対策への国際的取り組みの機運をしぼませる動きもあった。

気温上昇を産業革命前と比較し1・5度に抑えるパリ協定の目標は「気候正義Climate Justice」実現の条件と考えられる。温暖化でいま最も被害を受けるのは弱者であり、悪化する環境に生きる次の世代だ。気候正義の概念は世界に共有されつつあり、ローマ教皇フランシスコも15年の回勅「ラウダート・シ」で環境問題について提唱。その後も、強い危機感を込めて発言を重ねてきた。

他方、同じカトリックでも、トランプ氏の熱烈な支援者として知られるバチカンの元駐米大使・ヴィガノ大司教は「環境問題に関する狂気の回勅」などとあからさまに教皇を批判し、今年7月に(それだけが原因ではないが)「破門」されている。トランプ氏やヴィガノ大司教らには別の「正義」があり、それに共鳴する人たちも多くいるということであろう。ただし、20~30年後に生きる米国民がそれを是とするかどうか。

ロシアのウクライナ侵攻が戦闘拡大の兆候を見せ、ヒズボラとの停戦が発効したが、イスラエルのガザ攻撃は収束の見通しがつかない危機的な状況下、人類の将来を左右する気候変動問題が深刻過ぎる分断をさらけ出している。前回のCOP28から宗教者の発言は積極的になっているが、まだ気候正義をリードするまでには至っていない。しかし今後、その役割に期待が高まってくる可能性がある。

祖師から現代へ 期待される宗教者の指導力(6月11日付)6月13日

日本仏教の特質が形成される鎌倉期の祖師たちの中でも、法然、親鸞、道元、日蓮の存在は極めて大きい。12世紀半ばから13世紀末にかけてのほぼ1世紀半の間に、4祖師は時を連ねて…

気候危機と食料危機 カネでは解決しない(6月6日付)6月11日

鎖国で自給自足だった江戸時代中期から幕末まで、日本の推定総人口は3千万人前後で推移した。これを日本の国土が養える人口の限界値とする指摘は以前からあるが、考えてみれば怖い話…

戦後80年 戦前の過ちを直視せよ(6月4日付)6月6日

本紙5月21日付で報じたように、戦後80年に当たり全日仏(理事会)と曹洞宗はそれぞれ声明を決議、ないし談話を発表した。全日仏の方は、非戦を貫いた仏教者もいたが戦争に加担協…

相承譜に墨書する藤座主

第259世天台座主 藤光賢座主傳燈相承 「仏国土建設に邁進」 宗徒らに決意を披瀝

ニュース6月13日
「一行一筆経」の栄西筆跡について発表する舘准教授

栄西禅師の自筆と判明 愛知・西光寺の「一行一筆経」 舘准教授が発表 駒澤大仏教学会

ニュース6月13日

紛争地の宗教者集う ズームで公開も 1日から東京平和円卓会議 WCRP日本委

ニュース6月12日
このエントリーをはてなブックマークに追加