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目立つ復興復旧の遅れ 能登半島地震被災地の窮状(12月6日付)

2024年12月11日 09時17分

遅い、酷い。能登半島地震の復興、復旧への公的対応はそれに尽きる――。地元や県外から入って被災者を支え続ける宗教者らから、そんな訴えが聞こえる。

11月中旬、石川県輪島市内中心部では倒壊したビルの公費解体が始まり、大火に遭った朝市通りは焼けた残骸が撤去されて広大な更地になっていた。両者はメディアに何度も紹介された被災の目立つシンボル。しかし、「復旧遅れの典型と見られないために急いだのでは」との皮肉の声もある。それでさえ発災から10カ月もたってから、ましてや一般の多くの住宅の公費解体は未着手だ。

市街地でも、そこここで全壊した家屋が道路に崩れ落ちたままになり、以前の暮らしの痕跡の家具などが散乱した所もある。主要道路さえそこら中がでこぼこで、インフラや商店なども戻らないので生活が立ち行かない。海岸隆起した漁港は改修が進まず出漁のめどが立たない。全壊した教会はようやく撤去に入った状態だった。

被災者の最低限の生活を支える仮設住宅もまだ十分ではない。背景には、山の多い半島で適地が少なく、万博などで機材が高騰、人手不足という事情があるが、それにしてもだ。しかも狭くて入り切れない大世帯は家族がバラバラにならざるを得ないが、離れた金沢市などにアパートを借りるにも、「みなし仮設」補助は1世帯1軒なので家賃が大きな負担になる。

そこへ9月の豪雨水害が追い打ちをかけた。多くの犠牲者が出たのはもちろん、地震で何とか倒壊を免れたり半壊で修理した家が流された、あるいは自宅再建の間、倉庫に避難させていた全家財が水没したなどの被害が頻発。二重被災に「心が折れる、なんて生易しいもんじゃない」「死んだ方がましだ」との悲痛な叫びが聞かれた。

半年も待ってようやく入居できた仮設住宅が床上浸水した例も多い。清掃、乾燥の応急措置にも日数がかかるため、その間は再び離れた学校などの避難所に移るが、収容人数に限りがあり何日も順番待ちになる。家具も水浸しで、ぬれたままのカーペットの上で生活している被災者の悲惨な様子に、「人間扱いされていない」と憤る支援の宗教者の声は震えていた。

地元で支援団体を立ち上げた真宗僧侶が言う。奥能登2市2町の面積は東京23区の倍近いが、人口は域外避難などで計5万2千人まで減り、東京ドームの収容人数5万5千人にも満たない。「だからと言って過疎の地方を見放すのか!」と。公的なしっかりした対応を、心ある宗教者も声高に訴える必要があるだろう。

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