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20年後の宗門 「教師3割減」予測の衝撃(12月18日付)

2024年12月20日 09時52分

2025年に「少子高齢化による社会への負荷が大きく高まる」といわれ、第2次世界大戦後に生まれた団塊の世代の全員が75歳に達し、医療や介護へのニーズが急速に高まる後期高齢者になることで医療費や介護費が急増する。その15年後の40年には団塊ジュニアも65歳に到達し、二つの「団塊」が同時期に支えられる側に回り、65歳以上の高齢者数は43年に3952万人にまで増加すると推計されている。

この現実は宗教界においても無関係な話ではない。

人口学者の金子隆一氏は、少子高齢化の背景にあるのは急速な近代化だという。我が国は明治以降、近代化路線を突き進み、医療体制や衛生環境が改善したことで多産多死から多産少死となって人口が急激に増加した。戦後、高学歴化、女性の社会進出、晩婚化、晩産化が進む中で少産少死となり、出生率が人口維持に必要な「人口置換水準」を割り込んで現在の状況に至っていると分析している。

少子高齢化を宗門レベルで深掘りすると、また別の問題が浮かび上がってくる。曹洞宗が公表した「曹洞宗 2045年予測」は、45年までに教師資格を持つ僧侶は約33%減少し、特に20~30代の若手教師は約73%と大幅に減るという見通しを示した(本紙12月4日付)。この衝撃的な減少率の予測について、同宗の担当者は「若手教師の減少率は同世代の国内人口の減少率を上回っており、単に人口減少だけの影響を受けたものではない」とし、様々な理由で住職が子弟に得度をさせていない事例が増えている状況を読み取っている。

金子氏は「高齢化によるひずみは、社会の資源配分が高齢層に偏り、青少年・子育て世代に不利をもたらす」と述べている。

これを曹洞宗の事例と対照すると、教師の減少は兼務寺院や無住寺院の増加を招くだけでなく、包括法人である宗派・教団が被包括の宗門寺院に求める賦課金の1カ寺当たりの負担増として跳ね返る。そうなれば教団機構の抜本的な改革は避けられない課題となるだろう。

曹洞宗は「2045年問題」に備えた新たな宗門像を描くことになる。曹洞宗に限らず、ほかの教団・宗派も同様の問題を抱えているとすれば、伝統仏教教団は、現在ある包括・被包括の法人関係をこのまま維持できるのかという問題も含めて、全寺院・僧侶に支持される新しい宗門の在り方を真剣に議論する必要に迫られるに違いない。

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