PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

宗教の衰退と復興 「世俗化」後のゆくえ(5月21日付)

2025年5月23日 09時05分

社会の様々な分野、諸制度において宗教が権威を失い、信仰が個人の領域に縮退するという世俗化の理論は、宗教信者数減少という現実を説明する。しかし、一方でロシアや中国、さらにトランプ政権下のアメリカでも、一種の宗教復興ともみられる動きが進む。

ロシアでは正教会が「ロシア世界」のイデオロギーでプーチン政権を支え、ウクライナ侵攻の戦略の一翼を担っていると批判される。中国では共産党の指導のもと「宗教の中国化」政策が強力に進められ、宗教に社会的統合の効果が求められている。中国仏教協会による宗教外交も党から推奨されている。

アメリカはピルグリム・ファーザーズ以来の建国の理念があり、政教関係もフランスのライシテとは大きく異なる。「無宗教」の層は確実に拡大しているが、トランプ氏は再選後、宗教(キリスト教)重視の政策を強く打ち出している。その独自の立場から「宗教の自由」外交を進めようとするので注意が必要だ。

これに対し、日本は「八紘一宇」のイデオロギーを担った国家神道あるいは伝統仏教教団の戦時教学という負の歴史体験を経ており、米中ロなど超大国の「宗教復興」、国家権力による宗教利用が含有する危うさをよく理解しているはずであると思われる。

ところで世俗化の理論は西欧社会をモデルにしたもので、それ以外のイスラムなどには必ずしもうまく当てはまらない。さらに合理化された社会の中で、スピリチュアルな宗教的なものが合理性に押し切られて存在の場所を失うかといえば、決してそうではない。

日常性を超えた超越的なものにシンパシーを持ち、死後の世界や来世を信じる人々は実はかなり多い。ピュー・リサーチセンターの最近の調べでは、国境を超えて多くの人々が動物や自然界(山や樹など)にはスピリチュアルなエネルギーが宿ると考えており、これは若年層と高齢者の間で大きな差はないという結果が出ている。

スピリチュアルなものに親和性がある人々の大半は、かつては組織化された伝統的な宗教に属していたが、現在は特定の宗派に関わることを避けるいわば無所属の信者になっていると考えることもできる。国家が政治権力を利用し、こうした層を国家宗教に取り込むという可能性は十分にある。

一方、独自の信仰によって立つ伝統教団においてもこうした人々をどのように取り戻すかが課題だが、その際、国家権力との関係の在り方が問われることは言うまでもないだろう。

大事なのは関係性 被災地での支援活動で(10月1日付)10月2日

多数の犠牲者と甚大な被害をもたらした能登半島地震から1年10カ月、同地の豪雨水害からも1年余りだ。被災地に行くと、まだまだ住宅再建は進まず、道路などのハード面も復興などと…

スマホの使い方 ルール作りを共に考える(9月26日付)9月30日

幼少期における外部環境との接触は、未知との遭遇である。成長するに従い、その経験数が増えることで自己との関係性を理解し、他人や社会との関わり方や距離感を学び、自立した自己へ…

無知故のマナー違反 備えによりて憂いを減らす(9月19日付)9月25日

コロナ禍で急激に落ち込んだ外国人観光客が2023年以降かなりの勢いで増加に転じた。25年は年間4千万人を超えるのではないかと予測されるまでになった。 観光客の少なからぬ人…

大学改革の構想を説明する竹安学長

新学部・給付奨学金創設 大学改革構想を発表 京都女子大

ニュース10月7日
神式の慰霊祭に続いて桶屋良祐・念法眞教燈主を導師に仏式の慰霊法要を営んだ

神職・僧侶ら英霊悼む 終戦80年で合同慰霊祭 神政連大阪・念法眞教

ニュース10月7日
【焦点】災害対策各教団の現状は 進むマニュアル整備 メールシステムを構築/日蓮宗 専任職員を配置/浄土宗 反省と教訓生かして

【焦点】災害対策各教団の現状は 進むマニュアル整備 メールシステムを構築/日蓮宗 専任職員を配置/浄土宗 反省と教訓生かして

ニュース10月6日
  • お知らせ
  • 「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
    長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
  • 論過去一覧
  • 中外日報採用情報
  • 中外日報購読のご案内
  • 時代を生きる 宗教を語る
  • 自費出版のご案内
  • 紙面保存版
  • エンディングへの備え―
  • 新規購読紹介キャンペーン
  • 広告掲載のご案内
  • 中外日報お問い合わせ
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加