PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

戦後80年の視座 宗教団体法下の国家と宗教(8月22日付)

2025年8月27日 09時10分

戦後80年の節目を迎えるに当たり、本紙は8日付で、戦時下における本紙の報道の検証を試みた。戦時中の紙面には「神仏基が一丸となって」といった表現が見られるが、ここで注意すべきは「神」が指すのは神道ではなく、教派神道であるという点だ。明治政府は神道を宗教とはせず、国家神道として位置付けた。宗教と国家の関係を理解する上で、こうした歴史的背景を見落としてはならない。

国家総動員体制の下、宗教界もまた翼賛体制に組み込まれていった。その背景には、帝国議会で着実に進められた法整備がある。1925(大正14)年に制定された治安維持法をはじめ、宗教界を対象とした象徴的な法律が、40(昭和15)年に施行された「宗教団体法」である。

同法は、神道・仏教・キリスト教などの宗教団体に対し、法人設立を認可制とする法律であり、国家による宗教統制の枠組みを明文化したものだった。一方で、神社は宗教ではないとの解釈の下、同法の適用対象外とされた。すなわち宗教に対する国家の関与と、国家神道との線引きが明確に行われたともいえるだろう。

この法律が成立するまでには、実に約40年の歳月がかかった。1899(明治32)年、山縣有朋内閣が「宗教法案」として帝国議会に上程したことにさかのぼる。当時は宗教団体に関する統一的な規定がなく、宗教行政には300にも及ぶ個別の法令が存在した。

法案には仏教界やキリスト教界が強く反発した。教義を国が認可することへの批判に加え、教団の規模、歴史の長短に関係なく宗教団体として同等に扱われることなどへの抵抗があった。だが仏教連合会は、法案施行後の影響までは見抜けず、賛成に回ったということは忘れてはならない。

最終的に99あった条文を37まで削減して審議しやすくし、宗教ではなく宗教団体を規制するという建前で、法案名を「宗教法」から「宗教団体法」へと変更して上程された。文部大臣は「煩雑なる在来の規定を整え、宗教団体に対する国家の保護・監督を適正にし、宗教教化活動にも便益をもたらす」と美辞麗句を並べた。

この法案の成立により仏教の56派から28派へと集約されていくことになる。国家による宗教界の「再編成」は、制度的枠組みのもとで進められたのである。

戦争を二度と繰り返さないために、今を生きる私たちには、為政者の言動や国会の審議に対して常に注視する責務がある。過去、歴史を問い直すことは未来を守ることでもある。

「死」を考える 生命は生きようとしている(11月21日付)11月26日

自覚的に「死」を選択する「自殺」や、他者の生命を一方的に奪う「殺人」の意味について、私たちは折に触れて考えてきた。近代医療が発達してきた今、直面しているのは新たな「死」の…

宗教界の社会貢献 認知度改善の必要(11月19日付)11月21日

宗教は長い歴史の中で、人々の心の拠り所となってきたが、近年は社会的な存在意義が問われている。庭野平和財団が6月に第4回「宗教団体の社会貢献活動に関する調査」を実施した。回…

能登の季刊情報誌 あふれる郷土への愛着(11月14日付)11月19日

石川県域の情報誌『季刊 能登』が幅広く注目を集めている。特に能登半島地震以降は、被害の記録や復興への歩みを詳述、被災寺院の特集もした。格調高く、A4判100㌻近い圧巻の誌…

旧統一教会問題について報告する阿部弁護士

難波別院課税裁判巡り報告 「神社国有化」にも焦点 宗教法学会・法制研究会

ニュース11月25日
井上家元と「法悦歓喜和讃」で共演した

御室金剛講10周年記念公演 仁和の祈り響き舞う 井上家元と共演 祇園甲部歌舞練場で

ニュース11月25日
宗務庁舎の建て替えについて方針を述べる三神宗務総長

【特報】真言宗智山派定期教区代表会 「寺庭婦人」を「寺族」へ/性別不問、宗団を活性化 住職の配偶者の呼称/100年前の建築、耐震性懸念 新宗務庁舎建設

ニュース11月25日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加